死闘の末に、ルパン(CV:山田康雄)が見つけたお宝とは――?「ルパン三世 カリオストロの城」の終盤で明かされる宝の秘密とその美しさに息を呑む。傑作を締めくくるにふさわしい壮大さに、ルパンならずとも「まさに人類の宝ってやつさ」というセリフが口をつきそうだ。
【映像】美しい街並みが復活したシーン(1:33:30ごろ~)
アニメ「ルパン三世」シリーズは、神出鬼没の大泥棒ルパン三世とその仲間たちの活躍を描いたモンキー・パンチ氏による漫画が原作。1979年に公開された劇場版第2弾「ルパン三世 カリオストロの城」は、ゴート札と呼ばれる偽札の秘密を探るため、カリオストロ公国へやってきたルパンが繰り広げる冒険活劇だ。同映画は宮崎駿氏の映画初監督作としても知られ、シリーズ屈指の人気を誇っている。
カリオストロ公国の公女であるクラリス(CV:島本須美)と、名実ともに国の支配者になろうとするカリオストロ伯爵(CV:石田太郎)、それぞれが持つ指輪を重ねることで、古くから伝わる秘宝がよみがえるという。しかし、秘宝とは何なのか?大きな謎を残したまま、物語は進んでいく。
そして伯爵との死闘を経て、いよいよ宝の秘密が明かされた。時計塔の鐘の音が鳴り響く中、一気に湖の水があふれ出し……。湖の底から現れたのは、古代ローマの都市。これこそが、隠された財宝だったのだ。
“湖の底から街が現れる”という大仕掛けに驚かされるのはもちろん、その美しい街並みの描写も印象深いものだ。ルパンの「まさに人類の宝ってやつさ。俺のポケットには大きすぎらぁ」というセリフも実に気が利いている。
ところで作品をあらためて冒頭から見返すと、ルパンとクラリスは湖畔で出会っており、“湖に始まり、湖に終わる”物語であることに気づく。また、ルパンがクラリス救出時に言った「その子が信じてくれたなら、泥棒は空を飛ぶことだって、湖の水を飲み干すことだってできるのに……」というセリフも、湖の底から遺跡が見つかるラストにつながっていることがわかる。こういった細部のつながりも「ルパン三世 カリオストロの城」の名作たる所以だろう。
原作:モンキー・パンチ(C)TMS