「ルパン三世 カリオストロの城」の名シーンといえば、一般的には銭形警部(CV:納谷悟朗)の「奴はとんでもないものを盗んでいきました。あなたの心です」というセリフが印象的なエンディングが挙がるはずだ。しかし、“実はこっち派”という人も多いことだろう。ルパン(CV:山田康雄)が囚われの身のクラリス(CV:島本須美)と交わす会話も、なんとも粋な魅力にあふれている。
【映像】囚われているクラリスを助けるルパンのセリフ(43分ごろ~)
アニメ「ルパン三世」シリーズは、神出鬼没の大泥棒ルパン三世とその仲間たちの活躍を描いたモンキー・パンチ氏による漫画が原作。1979年に公開された劇場版第2弾「ルパン三世 カリオストロの城」は、ゴート札と呼ばれる偽札の秘密を探るため、カリオストロ公国へやってきたルパンが繰り広げる冒険活劇だ。同映画は宮崎駿氏の映画初監督作としても知られ、シリーズ屈指の人気を誇っている。
ヒロインのクラリス(CV:島本須美)は、カリオストロ公国の公女だ。名実ともに国の支配者になろうとするカリオストロ伯爵(CV:石田太郎)に結婚を迫られて、逃げ出したところをルパンに助けられた。しかし、伯爵によってクラリスは囚われの身になってしまう。
ひとり部屋の中で、さみしげな表情を浮かべるクラリス。そこへルパンが現れて、「私の獲物は、悪い魔法使いが高い塔のてっぺんにしまい込んだ宝物。どうぞ、この泥棒めに盗まれてやってください」と恭しく一礼した。「私を?」と驚くクラリスに対して、ルパンは、「金庫に閉じ込められた宝石たちを救い出し、無理やり花嫁にされようとしている女の子は緑の野に放してあげる。これみんな、泥棒の仕事なんです」と弁舌をふるった。
クラリスは自由への期待を一瞬ふくらませたが、伯爵の恐ろしさゆえに踏み出せない。「どうか、このまま帰って」と言われたルパンは、「ああ、なんということだ。その女の子は、悪い魔法使いの力を信じるのに、泥棒の力を信じようとはしなかった。その子が信じてくれたなら、泥棒は空を飛ぶことだって、湖の水を飲み干すことだってできるのに……」と悔しがってみせた。そして手品で一輪の花を出し、「今はこれが精一杯」とクラリスにプレゼントした。
こんなにキザなセリフがサマになるのだから、やはりルパンというキャラクターはすごい。泥棒を名乗ってはいるが、「ルパン三世 カリオストロの城」におけるルパンはまるで少女を守る騎士のように描かれており、そんなナイトとしてのルパンの魅力が詰まったシーンと言えよう。実際、ネット上には「『カリオストロの城』のルパンが初恋の人」という声も多く、ルパンは、クラリスだけでなく多くの女性のハートをまんまと盗んだようだ。
原作:モンキー・パンチ(C)TMS