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【映像】AIで動いた亡き母の写真
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 SNSで大きな話題となった動画がある。小学生のころに亡くなった母を、1枚の写真からAIによって動画にしたものだ。ガンで亡くなった母を笑顔にしたいと作成したところ、作成者は大きな達成感を得たと同時に、複雑な思いも抱いたという。現在、生成AIの進歩により外見だけでなく性格まで似せることができ、故人と会話もできるものまで登場したことに、賛否の声が出ている。『ABEMA Prime』ではこの動画制作者、さらに遺族向けに故人のAIをサービスとして提供する企業担当者とともに“故人のAI化”について議論した。

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■「あ!笑っている母ってこういう感じなんだ」

 動画を作成したのは、娘のたまこさん。母との別れは小学2年生の12月、時が経ち母の笑顔が思い出せなくなっていた。「私の記憶に残っている母の姿は『また入院が決まっちゃった』『また会えなくなる』と泣いている姿がすごく印象深く、衝撃的だった」という。27年前に亡くなった母をなんとか笑顔にしたいと、写真をもとにAIで動画を作ると「あ!笑っている母ってこういう感じなんだという達成感があり、ちょっと浸ってしまう時間もあった。見返す度に『こんな顔で私に微笑んでくれればよかったのに』と思えば思うほど泣けてきた」が、今回の動画をきっかけに「すっきりというか浄化された」と前向きな気持ちになれた。

 ただし、進歩しすぎるAIには少し恐怖も覚えたという。「(幼少期は)母のお仏壇の前で泣いたりしていたので、その時は『大変だったね』とか言ってほしかったし、妊娠や出産のタイミングで『おめでとう』とか、も言われたかった。2語や3語でちょっと受容してくれれば私は満足。それ以上に進むのはちょっとだけ怖いというのもある」とした。

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■世界でも増える“故人AI”サービス

 生成AIによる“故人AI”、言い方を変えれば“死者の復活”は世界でも様々なところでサービス化される一方で、倫理面で論争にもなっている。中国などではSNSに故人復活動画があり、写真などをもとに故人が話しかけているかのような動画が生まれている。また韓国では故人と会話できる「Re;memory」というサービスがあり、写真や動画から、故人の顔・声・表情などを再現。生前に行ったインタビューをもとに自然な言葉使いをし、遺族が双方向でリアルなコミュニケーションを取ることまで可能になっている。この流れに「死後も会話できればゆっくり気持ちを整理できそう」「急な喪失感が少し紛れそう」という声もある反面、「勝手に気持ちを代弁するのは死者への冒涜」「再現がうまくいかないと、さらなる悲しみを背負う」「死者との世界に依存して、現実との境目が曖昧になりそう」という声もある。

 Limerence AI社が開発する「Memorial Fix」も故人に関するAIサービス。トーク履歴、SNS、購買記録、遺族の記憶など、生前の様々なデータを学習し、故人が言いそうなことをAIで再現。チャット形式で会話し、将来的には映像・音声でも会話できるようにするという。著名人の再現や終活ではなく、遺族に向けたサービスで、月額数千円でデータを恒久的に保持できることを目指している。代表を務める平田茉莉花氏は「AIと死者はノットイコールだと認知していただくことが大事」だとした。また同社の最高技術責任者を務める池田元気氏は技術的には「音声・動画の方が簡単。ただし『不気味の谷』と呼んでいる、人間に近いけれど人間とは一致しないために生じる違和感をどうするかが課題」と述べた。

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■死別の悲嘆から前向きに「グリーフケア」の一助になるか

 「グリーフケア」という言葉がある。本来は「喪失の悲嘆へのケア」という意味合いだが、ここから「死別への悲嘆へのケア」としても使われるようになり、大切な人を失った悲嘆を和らげ、癒やす行為を指すようにもなった。“故人AI”もその一つではあり、Limerence AI社の「Memorial Fix」も、まさに故人のために作るのではなく、遺族のために作られるものだ。池田氏は「死者に向けていたエネルギーを外に向ける、自分の人生を前向きに生きる段階に至れない人がいる。特に顕著なのは突然死された場合。病死の場合だと心の準備もあるので比較的スムーズだが、それでも回復期まで平均1年かかると言われている」と、死の受け入れについて説明した。サービスの性質上、死者と会話できることで遺族が依存してしまうケースも考えられる。「外部の心理カウンセラーや、寺の住職などと連携して、なるべく依存や自分の人生にとってマイナスな方向に進まないようにトラッキングしていかないといけない」と付け加えた。

 コラムニストの河崎環氏は「グリーフケアという意味で、死者をもう一度ここに蘇らせる技術があるならば、残された人たちの心理的にどこか乾いた部分、足りない部分を埋めて、もう一歩前にちゃんと進ませていくための手段としてありだなとは思う」と賛同した上で、「たまこさんご本人からもあったように、2語や3語だったらうれしいけれど、それから先になると怖いというのを、当事者ご本人が感じている。それは何か影響を受けて操作されるから。再現した死者はイメージでしかないのに、そのイメージに今生きている人が影響を受けてしまったら、何かそれはちょっと違うし、死者の意思を超えた使い方になるのでは」と懸念を示した。
(『ABEMA Prime』より)

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