将棋の伊藤園お~いお茶杯王位戦七番勝負第4局が8月19・20の両日、佐賀県唐津市の「洋々閣」で行われ、藤井聡太王位(竜王、名人、王座、棋王、王将、棋聖、22)が挑戦者・渡辺明九段(40)に100手で勝利した。この結果、シリーズ成績は藤井王位の3勝1敗に。防衛5連覇で達成となる「永世王位」獲得に“王手”をかけた。注目の第5局は8月27・28日、兵庫県神戸市の「中の坊瑞苑」で指される。
絶対王者が豪快な踏み込みで白星をつかみ取った。立秋の佐賀県唐津市を舞台に争われた第4局は、渡辺九段の先手で「矢倉」の出だしに。対する藤井王位は、急戦含みの進行から飛車を5筋に移動させ矢倉中飛車に構えた。渡辺九段に経験のある将棋だが、藤井王位から別の道を選び未知の局面へ突入。藤井王位が先手陣へ踏み込みを見せたところで渡辺九段が大長考に沈んだ。
持ち時間のうち2時間37分を投じて、そのまま封じ手の定刻へ。形勢に大きな差はないものの、対局2日目に入ると渡辺九段の苦しい表情が目立つようになっていた。
迎える立場の藤井王位は、無理のない自然な攻めの手を重ねて優位を拡大。勝負所の中盤以降は攻めの加速度が増し、直接手で渡辺九段を突き放していった。受けに回った渡辺九段は、必死に粘って反撃の道筋を探ったが、先手からの変化は難しく思うような戦果を得ることができない。藤井王位は強く的確な攻めで一気にリードを切り開いた。最終盤では渡辺九段も渾身の勝負手を重ねて迫ったが、逆転には至らず。冷静な指し回しで押し切った藤井王位が、勝利を手にした。
終局後、藤井王位は「お互いの玉形がかなり異なる形だったので、その辺りの距離感を掴むのが終始難しい将棋だった」とコメント。一方、後が無くなった渡辺九段は「序盤の早いところでまずくしてしまったので、先手番としてはまずい将棋を指してしまった」と話し、肩を落としていた。
この結果、シリーズ成績は藤井王位の3勝1敗に。5連覇で達成となる「永世王位」獲得へ、あと1勝に迫った。藤井王位は、今年6・7月に行われたヒューリック杯第95期棋聖戦五番勝負で防衛を遂げ、「永世棋聖」資格を獲得。本シリーズでは自身2つ目の永世資格獲得がかかっているが、偉業達成も目前だ。しかし、挑戦者の渡辺九段にとっても簡単には譲れない。崖っぷちで臨むことになる次戦ではどのような作戦をぶつけるのか、見逃せない戦いとなりそうだ。
注目の第5局は、8月27・28日、兵庫県神戸市の「中の坊瑞苑」で指される。
(ABEMA/将棋チャンネルより)