■中絶に対するタブー視「そういう教育を受けた人も多い」障害を持つ子の受け入れは十分か

 法律に「堕胎罪」もあり、中絶に対してタブー視される風潮はある。アメリカでも州によっては中絶ができないところもある。中村氏は「やはり中絶は罪、中絶することはよくないことだという教育を受けた人も多いと思うし、そういう認識が浸透している感覚はある。根本にあるのは母体保護法。そのあたりの作りをどうするか、議論がもっと積極的に進んでいくべきなんじゃないか」と指摘した。

 またリディラバ代表の安部敏樹氏は、ダウン症の子どもたちが置かれる社会環境について考えた。「当然ながらこの診断が今1万5000件のものが、やがて15万件になり、30万件になり、60万件以上になっていくと、生まれてくる子のうち、ダウン症の子の総数が減ってくる。それ自体が社会にどういう影響を及ぼすのか、我々は真剣に向き合わないといけない。ダウン症の子が減れば減るほど、ダウン症に対する社会全体の理解が進まなくなっていくし、障害を持った子たちにとって、生きづらい世の中になる可能性もある」と語った。さらに「養子縁組もいろいろ変わってきた中、アメリカなどでは障害を持った子に対して『エンジェルじゃないか。なぜこの子たちを引き受けないんだ』と、障害を持った子をしっかり愛して育てていく環境が成熟している。こういうものがあって初めて(産む・産まないを)選ぶ話が成立する。日本は障害を持った子だと養子縁組を見つけづらい実態がある。現状を見ていくと、まだその準備がこの社会にできているのかわからない」とも述べた。
(『ABEMA Prime』より)

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出生前診断で陽性、そして中絶...背負い続ける葛藤 産まない選択を当事者に聞く
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