■「産む・産まない」の最終決定は本人ではなく医師

 中絶を選択する上で、制度のハードルもある。1つは金額だ。中村氏は「価格の問題は難しい。本来は多くの人に受けていただくためには価格が下げられればいいが、日本の特殊な事情もある。そもそも海外だと(出生前診断に)お金を払わないようなこともあるが、日本ではそういう仕組みになっていない。日本では今、この検査の位置づけは受けたい人が自分でお金を出す。実は最初に始めた検査が研究目的で、最初は20万円ぐらいした。だんだん下がってきているようだが、検査会社からも『このぐらいの価格でやってください』と医療機関に言ってくる。医療機関もある程度マージンを乗せないとやっていけない」と説明した。

 また、さらに大きいのが最終的に「産む・産まない」の決断をできるのが法律上、本人ではないことだ。「一番の課題はそこ。産む・産まないの決定権は、女性が主体的に決めているわけではない。基本的には日本には『堕胎罪』があり、中絶そのものは犯罪という扱い。母体保護法の中で母体保護法指定医が、中絶する要件に当てはまりますと判断した上で、中絶できるようになる人が出るので、つまり中絶を決定するのは医師」。いくら本人が望んだとしても、指定医が要件に当てはまらないとすれば、中絶はできないということだ。

 これに、彩さんは「実際、私が産む時に担当をしてくださった病院の先生は、その方の主観だとは思うが、障害のある子どもを育てるのは本当に大変なことだと。育てていくのは本人、家族であり親なので、親の意見というのはすごく大事で、育てる側の意思が最も尊重されるべきであると言っていた」とも加えた。

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■中絶に対するタブー視「そういう教育を受けた人も多い」
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