8月28日にZOZOマリンスタジアムで行われた千葉ロッテマリーンズ対埼玉西武ライオンズの一戦で、西武の2人のキャッチャー、古賀悠斗と柘植世那のプレーについて、元千葉ロッテマリーンズの正捕手で野球解説者の里崎智也氏が、“捕手”の目線で言及した。
まず最初の場面は、3-2と西武が1点リードで迎えた8回裏・ロッテの攻撃、2死三塁、打席には2番・藤岡裕大という場面。ここで西武バッテリーは、藤岡に対し、早々と追い込みながらも粘られてカウント2-2とすると、7球目、マウンド上の西武2番手・平良海馬が投じた内角低めへの決め球のスプリットが大きくワンバウンド。これをキャッチャーの古賀は止めることができずに、ボールはバックネット方向へと転々し、その間に三塁走者の小川龍成が生還。西武はワイルドピッチで終盤に同点に追いつかれるという、なんとも手痛い状況となった。
もう1つの場面は、3-3の同点で迎えた12回裏・ロッテの攻撃、2死一、三塁、打席には3番・ポランコという場面。1本出れば即サヨナラの緊迫した場面で、マウンド上の西武6番手ボー・タカハシは、ポランコへの初球、ストレートがすっぽ抜けて外角高めへと大きく外れることに。これを、前出の古賀から代わったキャッチャーの柘植は、慌ててミットを出して捕りに行くも及ばず、後方へと逸らしてしまうことに。柘植が慌てて打球を追うも間に合わず、その間に三塁走者の藤岡が悠々生還。西武はサヨナラ負けを喫することとなってしまった。
2度のワイルドピッチで、同点→サヨナラ負けという、西武にとって悔いの残る結果となったこの敗戦。8月30日に放送された『バズ!パ・リーグ』(ABEMA)では、VTRとともに改めて振り返る形となったが、その際に里崎氏は、“元・捕手”としての目線から、古賀と柘植のプレーについて言及。
まず平良のワンバウンドを止められず、同点の走者を生還させてしまった古賀について「(平良のコントロール)ミスはミスですけど、それをキャッチャーがカバーしなきゃいけないところで、キャッチャー・古賀の左の膝。(地面に)つくのが早いんですよ。左膝を早くついちゃうと、横の動きに行けない。だから(ボールに)ついていけないわけじゃないですか」と、キャッチの際に左膝を地面につくという古賀のスタイルが災いする形で、横の動きへの対応が遅れ、結果としてボールを止めることができなかったと分析。その上で「膝をつくのが悪いわけじゃない、ノーバンだとついていいんですけど。そこを判断よく、つくつかないを、(投手が)投げてすぐに判断しなきゃいけないわけですよ。最近、フレーミングとかアメリカの流行が(日本の球界でも)流行ってますけど、ミットを下から出して捕りに行こうとしたら、膝つくんですよね。膝ついたほうが(ミットが)下になるんでね。そうすると正面のボールはブロッキングしやすいんですけど、左右にブレたときの動きが遅くなる。あと、稼動域も狭くなるんで」と、古賀の課題を指摘する形でコメント。
続いて柘植がボー・タカハシのボールをキャッチできずにサヨナラとなった場面には「これ、仕方ないんちゃうか?と言う人もいるんですけど、でも捕らなきゃいけない。一番の問題点としては、キャッチャー・柘植のミットの位置。下まで下げるんですよ。股の下まで下げるから、高めに浮いた球が反応しきれないわけじゃないですか。普通だったら、(下げるとしても)胸ぐらいなわけですよ」と、柘植が高めのボールを要求しながらも、ボールを受ける前にミットを極端に下げるスタイルをとっていたために、その分、高めの球への対応が間に合わなかったと指摘。「140キロオーバーの球が来る。そうなってくると、コンマ何秒の反応の遅れが命取りになるというのを考えると、この“謎のミット下げすぎ問題”。下げる必要性ないんで。高めに構えてるのに、わざわざ距離が遠くなるところまでミットを持って行く理由がない」と、わずかでも無駄な動きがあることで結果として致命傷となりかねないとした。
そうした上で「基本の原理原則を怠ると、こういう危機管理のところで、ミスが起きて結局負けに繋がってくる。シーズン終盤に来ているので、もうちょっと早くから気づけたはず。準備していれば、こういうミスは防げた。ちょっともったいなかったなと思いますね」と自身の見解を述べた。
なお、ネット上の野球ファンからは、この日の西武の敗戦について、「リアルで初めて“ファーww”って声出たわ」「しのいでしのいで最後にこれとは悲しい」「中継を見てる分には耐えられるが、現地で応援してる人はブチ切れてもおかしくないな」「こんなに胸が痛むサヨナラ勝利はないよ」「自分も現地で喜んだ瞬間居た堪れなくなった」といった様々な反響が寄せられている。
(ABEMA『バズ!パ・リーグ』)