将棋の藤井聡太王座（竜王、名人、王位、棋王、王将、棋聖、22）に永瀬拓矢九段（31）が挑戦する第72期王座戦五番勝負が9月4日、神奈川県秦野市の「元湯陣屋」で開幕した。藤井王座が初防衛で2連覇を達成するか、昨年タイトルを奪われた永瀬九段がリベンジを果たすのか。立場を入れ替え再戦する両者の戦いのゆくえから目が離せない。振り駒の結果、先手は永瀬九段に決まった。
世紀の死闘から1年。運命に導かれるようにこの舞台には、“藤井・永瀬”の両名が再集結した。前期は、4連覇中で名誉王座獲得を目指した永瀬王座に、史上初の全八冠制覇がかかる藤井竜王・名人が挑戦、という将棋ファンならずとも大注目のシリーズとなった。初戦は永瀬王座が白星を飾ったものの、第2局以降は藤井王座が3連勝でタイトルを奪取。いずれも手に汗握る大熱戦が繰り広げられたほか、劇的な逆転劇もファンの心に深く刻まれている。
昨年タイトル奪取を決め前人未踏の全冠制覇を果たした藤井王座は、その後も竜王、王将、名人、棋聖を防衛したものの、叡王位を同学年の伊藤匠叡王に奪われ七冠に。一時は不調説がささやかれることがあったが、今夏の王位戦七番勝負でも防衛に成功。七冠堅守とともに「永世棋聖」「永世王位」の2つの永世称号獲得を果たし、このシリーズ開幕を迎えている。
一方、挑戦者としてリターンマッチに臨む永瀬九段は、今年度成績7勝4敗の勝率0.6363でこの日を迎えた。今期の王座戦には挑戦者決定トーナメントから参戦し、郷田真隆九段（53）、菅井竜也八段（32）、鈴木大介九段（50）、羽生善治九段（53）と強豪を次々に打ち破り挑戦権を獲得。目指すは“王座奪還”のみだ。
両者のこれまでの公式戦対戦成績は、藤井王座の15勝7敗。直近の対戦は今年2月に行われた朝日杯決勝戦で、この一戦は永瀬九段が制している。藤井王座がプロデビュー直後から研究パートナーだった両者が、今期はどのような秘策をぶつけ合うのか。五番勝負の短期決戦ながら、激戦必至の濃密な時間に注目したい。
持ち時間は各5時間。振り駒の結果、先手番は永瀬九段に決まった。
（ABEMA／将棋チャンネルより）
