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【映像】日向藍子「ポン」に聞こえる?「ツモ」の発声

 もう仲間を支える“心優しきビッグママ”ではいられない。プロ麻雀リーグ「Mリーグ」渋谷ABEMASのメンバー日向藍子(最高位戦)は、心配りと明るさ、笑顔とトークなど、麻雀を打つ以外でもファンを楽しませる人気Mリーガーの一人。ただ、昨期初めてチームがファイナルシリーズ進出を逃すと、最も身近にいる家族ががっかりした様子を見て、一念発起した。「このままじゃいけないという気持ちは強い」という日向が、人を支えるだけでなく、自立した一人の選手として、力強く戦うことを心に決めた。

【映像】日向藍子「ポン」に聞こえる?「ツモ」の発声

―昨年、チームは残念ながら初めてファイナル進出を逃した。個人としてもレギュラーシーズンはマイナス。改めて、どんなシーズンだったか。

 日向藍子(以下、日向) ひとことで言うと悔しいですが、今、時間が経って思うのは、これもひとつの経験だったな、と客観視している部分があります。毎回うまくいくわけではないじゃないですか、人生。なので、今まで経験したことのないものを一度味わえたというのは、ひとつの財産だな、とすごく思っています。

―「時間が経って」というのは、やはり敗退が決まった時は喪失感や憤りがあったのか。どの感情が近いのか。

 日向 いろいろと混ざっていました。最終戦は私でしたが、いろいろと感情がぐちゃぐちゃでしたね。「私が打っていいのか」というのと、「私が任されたんだから、頑張らなきゃ」「ラス取れない」「並びも作らなきゃいけない」「これが最後になっちゃうかもしれない」とか。いい意味でプレッシャーを感じながらやっていましたが、その時は情緒不安定でしたね。

―その後はいつもより長いオフ。ファイナルも見るしかなかった。その期間は、初めて経験するもの。どう見ていたか。

 日向 お家で家族と見ていました。私は各チームが「こういう風に戦いたいだろう」とか、「こういう思惑があるだろう」とかがわかるので、結構熱中して見ていましたね。いろいろなチームに寄り添って勝手に応援していたんですが、それを見ていた夫が「全然、分からない」と(苦笑)。「ABEMASがいないファイナルに、こんなにも興味が沸かないなんて、びっくりするくらい」と家族は言っていて、「あ、そんなに変わるんだな、親族」と思いました。

 実際、サポーターのみなさんに「ABEMASがいないのは耐えられない」とイベントや、Xのリプライでもたくさんいただきました。だから、「あ、楽しんじゃってたけど、あかんわ」という気持ちが出ました。

―Mリーグも6年かけて“箱推し”するファンも増えたが「ABEMASだから好きなんだ」という認識もできた。

 日向 そうですし、悲しませちゃいけないな、と。悪いことをしたわけではありませんが、悪いことをしたような感覚。親の期待に応えられなかった幼少期の感覚ですかね。テストで点が取れなくて、とか。ああいう感覚に似ていて、「ごめんなさい」みたいな感情が後から沸々と、日が経てば経つほど沸いてきて。でも、ファイナルは見ていて楽しくて。最後は順位がほぼ決まっちゃっていたので、「すん」と見ていました。

 最終日は初めてパブリックビューイングの解説に行かせていただいて、どの選手にも寄り添って話していたつもりでしたが、閉幕式は(ステージ上で)上位4チームの後ろに並ぶのが初めてで、「あ、こんなにも悔しいんだ、この位置は」というのも初体験したので、「これは良くないや」と、そこでもまた思いましたね。

―ファイナルで優勝シャーレを掲げられずに横で見ている悔しさと、一段後ろというのが違う。

 日向 全然、違いました。最後の16試合を打たせてももらえなかったんだな、というのを初めて味わいました。

―そのあたりの感覚はチームメイトで似ているものなのか、それとも個々で違うのか。

 日向 どうなんでしょうね。閉幕式はみんな「想像以上に悔しいね」と言っていたので、たぶん、そこは総意かなと思います。うちは基本、打ちたがり、前に出て「麻雀打ちたい」という人が松本さんしかいませんでしたが、今年は男子2人が「打つ」と言っています。あの出なかった(多井)隆晴が!白鳥(翔)さんも「打ちたい」と言わないタイプなのに「行かせてくれ」と既に言っていて。私の出番が来るのかな(笑)。だから、チームの中で意識は変わっていますね。

―去年は特に、多井選手がしばらく出なかった。戦術もあると思うが、振り返ると、他の3人が順番で出ていた時は、どういう期間だったのか。

 日向 私は結果的に21試合なので、例年通り。だけど松本さんは個人賞もありましたから、さらに多く出馬して。結果的に数値だけを見ると、そんなに偏ってはいない。松本さんが多いだけでした。

 「多井さんが出ても出なくても大丈夫だよ」と言える私たちでありたいですが、ひとつの気持ちで何かに向かう時は同じベクトルで物事を迎えたい、と私は思っているので、次のシーズンはまた、変化の時だな、とは思っています。

 ABEMASは選手が変化せずにずっと来ていますが、変わらなくていいものは1個もないです。これが当たり前ではないことを大事にしないと。セミファイナルで敗退でしたので、(入れ替え)ルール上では適用されませんが、いつサイバーエージェント様が「(選手を)代えたい」と言うかもしれないし、「このままじゃいけない」という気持ちは去年よりも強くなりました。

―技術なのかメンタルなのか、変えたことは何かあるか。

 日向 もう少し、自立した精神力でいること。結局、私は「チームありき」がめちゃくちゃ強いんです。「このチームのために頑張りたい」「この人のために頑張りたい」という感情が元々、人よりも強過ぎて。だから、勝手に人に期待したり、勝手に裏切られたりするところの振り幅が大きいんです。

 それは、お仕事や対局に向かっては良くないことだと思うんです。なので、そこは自分の中で、きちんとひとつずつの物事を割り切って認識したい。人のためももちろんですが、自分のためにもう少し生きていく、というか、やるというのが、ここ1年くらいの目標です。

―ABEMASではぶつかりもしながら肩を組みながら、というイメージが強い。自身では、一人一人が自立して、個々で頑張りつつ、みたいなものを目指すのか。

日向 すごく目指しています。他の人は大体、できているので、私が問題なんです。

―今まではチームの輪を作るムードメーカー、つなぎ役だった。

 日向 「ご飯粒」でしたもんね。でも、バランスは結構取れてきたと思うんですよ。何年も一緒にいて性格もわかるし、ギャップももちろん。「こういう時はこう感じちゃう」ということをお互いに理解しているので、それ以上に、より良く勝ちを目指すためにはどうすればいいのか、というのをオフシーズンで考えて今の決断。自信を持つことが一番かな、と思います。

―今年の目標は。

 日向 自分の数値がプラスなのはもちろん嬉しいですが、ここ数年はプラスの年も多いので、そこに関して大きく雀風を変えていこう、とは思っていないです。結構、攻めっ気を出してきたので、ここ数年で。なので、まずは大きな目標として必ずファイナルに行く。絶対にそこだけは譲れないと思って挑む。だから、序盤からでもポイントを多く持ち帰るための練習を、さらに積んでいく、という感じですかね。家族やサポーターを「全然、楽しくない」とか言わせてしまったらダメなので。

―やはり、家族に言われるのは違うか。

 日向 あんなにMリーグで盛り上がっていた夫が、見向きもしてくれなくて。「え!?こんなに人って変わっちゃうの?」と。私がソファーで見ていても、誰も横に来てくれないから、娘も。「こんなに!?」みたいな感じになったので、応援してくれる身近な存在、ファンの方やサポーターの方や親族は、やはり「いないとダメだよ」と言ってくれるので。そうだな、と。頑張らねばな、と感じました。

―セミファイナルの最終戦で涙を流すシーンがあった。娘のゆいはちゃんから声をかけられたり、励まされたりしたのか。

 日向 励ますとかはなくて、逆に「ママが負けたら早く帰ってくる」と認識していて。「今日はもう、負けちゃってもいいよね」みたいに言うようになって(苦笑)。こんな子に育てた覚えはないのに。だから、タイトル戦やリーグ戦でも「ママ、負けちゃったら早く帰ってくるんだよね?」と。ちょっと良くないですね(苦笑)

 今、リーグ戦で首位(2024年8月時点)なんですが、娘がそれを見ても「ママ、すごい。1番、初めてじゃない?」「また負けちゃったんじゃないんだ?」みたいに言っているんです。ファイナルのせいで、ちょっと負けの印象が強くなって、親族の中で。それを、まずは払拭しないとマズいですね。

―そんなに負のイメージが強いのか。

 日向 私が勝った時はあまり言わないんですよ、娘に。「ママ、今日は勝ったんだ」とかは言わなくて、負けた時は落ち込んでいるから、「ママ、どうしたの?」「また負けちゃった」「また負けちゃったの!?もう、いつも負けてるね」とか言われるから、常に負けている人、みたいなイメージが付いてしまったのかな。

―勝ったことを言わない理由は。

 日向 元々、「勝ったぜ!」とかはやらない性格です。夫にも、もちろん言いません。勝った時も負けた時も、MリーグはXでポストするじゃないですか、リーグ戦もしかり。だから、あれはちょっと、うまくできないんです。

―リーグ戦の勝ち報告は難しい。

 日向 難しいですよね。だから、「恵まれていた」か「ツイていた」かの2ワードで何とかするだけで。勝って「いえーい」みたいな人もいるじゃないですか、渋川(難波)さんとか、多井さんも。強メンタルだな、あれもすごいな、と。

―負けた方が書きやすいか。

 日向 負けを書くのも、あまり好きではなくて。報告はしなければいけないからしますけど、言葉にして言いたくない派です。優勝の時も「何て書こう」と思っている間に、男子3人はめちゃくちゃ早くツイートしていて、「みんな、もう!?10分前に?」みたいな(笑)。

―今年、娘さんへの報告も含めて抱負を。

 日向 もう少し、自己アピールをします。いつもは、陰でいいと思ってしまうんですよ。それか、MCで仕切ったり。何かが円滑に進めばいい派なので。喋るのも好きですし、得意ですが、もっと喋る人がいたら、聞き役に回りたい派なんです。だけど、もっと自分を出して、今後のことも踏まえて、もう少しうまく生きていきたいです、がテーマです。

◆Mリーグ 2018年に全7チームで発足し、2019-20シーズンから全8チーム、2023-24シーズンからは全9チームに。各チーム、男女混成の4人で構成されレギュラーシーズン各96試合(全216試合)を戦い、上位6チームがセミファイナルシリーズに進出。各チーム20試合(全30試合)を戦い、さらに上位4チームがファイナルシリーズ(16試合)に進み優勝を争う。優勝賞金は5000万円。
(ABEMA/麻雀チャンネルより)

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