将棋の第72期王座戦五番勝負第2局が9月18日に行われ、藤井聡太王座(竜王、名人、王位、棋王、王将、棋聖、22)が挑戦者の永瀬拓矢九段(32)に123手で勝利した。ABEMAの中継では、解説陣が対局に臨む“棋士のメンタル”について言及。メンタルトレーナーの必要性についてトークを展開した。
頭脳スポーツとも表現される“将棋”。七冠を保持し棋界の頂点に君臨する藤井王座は、年間を通してタイトル戦を戦うために全国を飛び回る超ハードスケジュールをこなしている。体力面はもちろんのこと、日々のコンディションは精神面に影響を及ぼすことも。そんな過酷な状況の中でも驚異の高勝率を叩き出し、ファンに新たな将棋の世界を披露し続けている。
18日に行われた王座戦五番勝負の第2戦では、挑戦者の永瀬九段を相手にノーガードの激しい攻め合いを仕掛けて圧倒。銀捨てからの香打ちなど直線的な鋭い踏み込みを連発し、勝利を飾った。
ABEMAの中継に出演した遠山雄亮六段(44)と武富礼衣女流初段(25)は、解説の合間に“棋士のメンタル”についてのトークを展開。プロとしての自身の経験を踏まえつつ、武富女流初段は「体調もそうですが、自分の気持ちが沈んでいる時って将棋も暗いですよね。何なんですかね、どこで影響してるんだろう…。将棋の棋士にもメンタルコーチがいていいと思うんです」と疑問を投げかけた。
スポーツ界では技術面でのサポートを行うコーチの他、精神面を支えるコーチの存在も広く認知されている。対局が始まれば誰の力も借りることもできないということを踏まえた上で、武富女流初段は、「我々は孤独ですよね。嫌なことがあっても暗い気持ちのまま対局に向かわないといけない。励ましてほしい!(笑)」との要望を口にする場面もあった。
遠山六段も「第三者の引いた目というのもすごく大事ですよね」と共感。さらに、対局中の藤井王座にも視線を向け、「藤井さんだって、コーチが欲しいと思う時もあると思います。いくら強くたって人間なので、歯車が狂っているように感じたり調子がよくないこともあると思います。藤井さんに(将棋の技術面の)アドバイスをできる人はいないかもしれませんが、メンタルの部分のみに特化したコーチというのは良いかもしれませんね」とコメントした。
実際、振り飛車党の第一人者として棋界をけん引する久保利明九段(49)は、タイトル獲得の高い壁に臨むにあたり、メンタルトレーナーの力を借りて初戴冠に繋げたことを公言している。
武富女流初段は「この世界の人はプライドを重視しているので、言われた時に反発する人も多そう…(笑)」と笑ったが、広くトレーナーが導入されるようになった場合、また新たな将棋の未来が拓かれる可能性もある。
視聴者もこの話題に興味津々の様子で、「孤独と闘うのが棋士」「そっか、トレーナーいないのね」「良い話を聞いた」「実際にお願いしてる棋士もいそう」「チェスのトップ選手はチーム作ってるらしいね」「家族がメンタルコーチみたいだといいんやな」と様々なコメントが寄せられていた。
(ABEMA/将棋チャンネルより)