アメリカ西部・フロリダ州に上陸したハリケーン「へリーン」と「ミルトン」。
甚大な被害が出る中、被災者支援に乗り出す著名人も。
食料支援をしているNPOは、アメリカの人気歌手、テイラー・スイフトさんから500万ドル(7億4500万円)の寄付を受けたことをSNSで明かした。
寄付に関する研究をしている関西大学法学部 坂本治也教授は「アメリカでは2023年の1年間で約89兆円が個人や団体から寄付された」と話す。
イギリスの慈善団体が調査した「各国のGDPに占める個人寄付総額の割合」から見ても、アメリカは『寄付』に積極的な国だといえる。しかし、日本の個人寄付総額は低い割合であり、災害時には義援金が集まる一方で、「貧困」「差別」などの社会問題に対する寄付は少ない。
そんな日本では1年間で寄付をしたことがある人は約3分の1。逆に言えば、3分の2の人は1年間で一度も寄付をしていないという状況だという。
「日本で寄付が根付かない理由」について坂本教授は3つの理由を挙げる。
1.「政治参加や社会参加をしない」
日本人は政治や社会問題に関心を持っていても、積極的なアクションを起こす人が少ない。
2.「宗教的な問題」
宗教と寄付は密接に関係しているが、日本では信仰心が強い人が少ない。
3.「NPOへの不信感」
能登半島地震の被害に対し義援金を送った人は約21%いるが、NPOの救助活動に寄付した人はわずか7%。「NPOが寄付を有効に使ってくれるのか」についての不安や不信感が大きい。また、「NPOはボランティアだ」と言う意識が強く「NPOに関わっている人は無償でボランティアをやっているので、その人たちの給料に寄付したお金を使われるのはおかしい」という意見がよく見られる。
そもそも、NPOも全て無償で運営することはできない。継続的に活動するためには有償の賃金をもらってフルタイムで働く人が必要だ。寄付においてNPOは日本にとって重要だと坂本教授は強調する。
「政府がやれることには限界があり、企業も収益性がないとできない。そのため、非営利組織が広まることは日本にとって非常に重要だ」
寄付は一つの手段であり、重要なのは社会問題が解決されることだ。坂本教授も「お金がない場合でも、社会問題の解決を念頭において投票に行く、ボランティアをする、ネットで意見発信するなど、できることをすればいい」と話した。
村上世彰氏の次女であり、寄付などを通じNPOを支援している村上フレンツェル玲氏は「若い頃から寄付やボランティアを経験することが大人になってからの寄付につながる」とした上で「実は寄付と密接なつながりがあるNPOは“身近にある組織”だ」と説明した。
「NPOと聞くと『遠い世界にある怪しい組織』と感じる人もいるかもしれないが、子ども食堂やアフタースクールなど『近所の人を助けたい』という純粋な思いから活動されている団体も多い。とはいえ、たしかに広報や透明性のアピールは不足しており、これは寄付額にも直結している」
さらに、村上氏は「行政とNPOは積極的に連携をとるべきだ」とも提案した。
「NPOが取り組んでいる社会課題には長期間の活動が必要なものも多い。その中でも特にインパクトが大きいものについては寄付だけではなく、行政が関わり、税金の歳出の中に入れてしまうという方法もあるだろう。また、社会課題が生まれる背景に“法律や行政の欠陥”があるケースも。そのため、NPOが政府に制度のアップデートを働きかけることも重要だ」
(『ABEMAヒルズ』より)
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