【セリエA】コモ 1-1 パルマ(日本時間10月19日/スタディオ・ジュゼッペ・シニガーリャ)
その放物線は大きな弧を描き、敵陣深くまで到達した。パルマのGK鈴木彩艶がコモ戦で、ダイナミックなロングフィードを敵陣へ蹴り込むと、そのボールはバウンドすることなく約70mの飛距離を出し、一度跳ねた後に相手GKの元へ到達。そのインパクトあるキックには、ファンも思わず「ザイオンのキック凄いな」と感嘆の声を漏らしていた。
何気ないプレーに、鈴木の能力の高さが詰まったシーンだった。前半開始早々2分のことだった。自陣でボールを持ったパルマがゆっくりと攻撃を始めると、ペナルティーエリア内にいたGK鈴木にボールを預けて組み立てを開始しようと試みた。
足裏でボールをコントロールした鈴木は、コモのFWパトリック・クトローネが迫ってきたところで前線のターゲットに狙いを定め、短い助走からロングフィードを選択。鋭く蹴り込まれたボールは一気に敵陣上空へと到達し、バウンドすることなくおよそ60mの距離を稼いだ。
左サイドのFWマッテオ・カンチェッリエーリが中央に走り込んでこのボールの落下地点を目指したものの、わずかに届かず相手ボックス手前でバウンドすると、これを相手GKがキャッチして決定機にはならず。ただ、自陣ボックスから敵陣ボックスまで一発で通す、鈴木の超人的なキック力が垣間見えた瞬間だった。
これにはファンもSNSで「ザイオンのキック凄いな」「相手ゴール前まで飛んでるぞ」と反応を示し、改めて日本代表GKの“パンチ力”に驚愕している様子だった。
今季昇格組同士の対決ではあるものの、元スペイン代表のセスク・ファブレガス監督が指揮を執るコモは、名のあるタレントや若手有望株も多く、上位陣に迫るほどポゼッション率の高いスタイルで戦ってくる相手だ。パルマはこのアウェーゲームで相手に持たれる時間が増えながらも、鈴木のフィードを活用しながらなんとか局面打開を図っていた。
パルマ加入1年目の鈴木は、第3節に退場となり第4節は出場停止となったものの、それ以外の全ての試合で先発。勝ち星はまだ1つだが、前節に初のクリーンシートでドローに持ち込むと、この試合も決定機を防ぐなどチームの2試合連続引き分けに貢献した。パルマの次戦は10月27日のエンポリ戦。鈴木の活躍に期待したい。
(ABEMA de DAZN/セリエA)