■平成ノブシコブシ・徳井健太「学校なんてやる気が出たことはない」
カウンセリングをしていて、学校生活に対してやる気が出ない子どもは多いのか。碓井氏は「やる気がないように見える子たちはいっぱいいる」とした上で、「私の立場からすると、やる気のない子なんて一人もいない。例外はなしだ。みんなできることなら楽しく学校に行って、学んだり遊んだりしたいと願っている」。
一方で、石井氏は「やる気が出ない」という選択肢が、調査で選ばれやすい構造になっていることを指摘。「登校したくないなどの相談があったというと、『やる気が出ない』にチェックせざるを得ない。『登校したくない』と、『やる気が出ない』はちょっとニュアンスが違う。でもこれが選びやすいのが一つ大きな原因だと思う」との見方を示した。
お笑いコンビ「平成ノブシコブシ」の徳井健太は、自身の経験から「学校でやる気が出たことはない。小学校から高校までの12年間で楽しかった思い出なんかない。行きたくなかったし、つまらなかった。でも、無駄だった12年間を、大人になってから経験することは多分できない」との考えを話す。
石井氏は「危惧しているのは、不登校理由が『やる気がないだけだろう』みたいな形で、学校や教員が本人の問題だと思ってしまうこと」だといい、「取材をしていると、学校側が自分たちのせいではなく、子どもに原因があると思っている人がちょっと多い」と問題視した。
■「『学校に行かなくていい』という話は、よその子には言える」
オルタナティブスクール「aini school」小・中等部調査によると、「子どもが学校に行きたくないと言ったら?」という質問に対する保護者の回答は、休ませる80%、その他16.8%、無理にでも行かせる3.2%という結果だった。
親が「学校に行かなくてもいい」と言ってしまう傾向にあるのか。石井氏は「そういうふうには変わっていない。すごく苦しんでいる時に、大変なことだと気づく親が増えたということ」だと答える。
また、「最近の調査でも、不登校ゆえに親が離職せざるを得なかった、働くのをやめざるを得なかったという人が5人に1人。死にたくなったという人が9人に1人だった。学校に行かなくていいという話は、よその子には言える。でもまだ我が子には言えない」と補足した。
東京都のデータによると、不登校からの復帰率は、2019年には小学校21.1%、中学校15%だったが、2023年には小学校34.9%、中学校27.9%と上昇傾向にある。
データを見て、石井氏は「そんなに大きく幅が上がっているわけではないし、不登校の子たちの高校の進学率も8割以上をキープしている。なので、行かなくなったその先がどれだけあるかということ。コロナ禍で分かったのは、行くか・行かないかの問題ではなくて、なぜ行かない時に選択肢がないのか、ということだ。ここは脆弱だったということを改めて考え直さなきゃいけない」と訴えた。
(『ABEMA Prime』より)
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