年々増加の一途をたどる子供の不登校です。支える保護者たちにも大きな負担があるという。
子どもの不登校に悩む親を対象とした調査では、およそ5人に1人が子どもの不登校によって退職や休職という形で仕事から離れていると回答。また、およそ3割が遅刻・早退・欠勤を経験したと答えている(NPO法人キーデザイン調査)。
「最近は小学生の不登校が増えてきて、他に預けることもできず、仕方なく仕事を辞めたり」
こう話すのは、不登校の子を持つ親のサポートや親同士が交流できる勉強会などを運営しているNPO法人ファミリーコミュニケーション・ラボの谷田ひろみ相談役。支援を続ける中、親たちの様々な悩みを聞いてきたという。
昼食の用意、電気代も上昇
「状態が悪いお子さんも多く、親はなかなか家から出られない。特に、子どもが何をするかわからない、最悪の場合自殺するかもしれないという不安は深刻だ。夫が帰宅してから仕事に出るようなシフトに変えたり、勤務時間を減らしたりするケースもよく聞く」
家計が苦しくなるケースも少なくない。調査では、37.8%の人が「収入が減った」と回答しており、中には収入がゼロになったと答えた人もいる。
さらに昼食の用意、常に家にいるため電気代がかかるなど、不登校は金銭面でも苦労が絶えないという。
自身も不登校の子の親だったという谷田さんは、子どもを支える中で感じた孤独や不安を解消するため、親同士が安心できる場を作りたいと交流会や勉強会を開催している。
「子どもの心配だけでなく、いろんなことが親にのしかかってくるので、気楽に話せる場が欲しいと思い始めたのがきっかけだ。親が勉強したり、親の会に関わって外に気持ちを開いていると、子どもたちも段々と変わっていく」
勉強会では、子どもが元気になるための話の聴き方=傾聴を学んでいる。開催の裏には親たちの不安を取り除きたいという思いも。
「不登校は子どもと親にとって大きな“傷つき体験”でその後も影響が続くことが多く、社会復帰してもまたしんどくなって長期引きこもりに移行する子もいる。そのため、先のことを心配しないで今のメンタルヘルスを元気にすることが大切。親と子どもの関係性をしっかり作っておくことを大事にしてもらえれば」
そして、社会全体で不登校の子を持つ親を支える仕組み作りが必要だと谷田さんは訴える。
「不登校が原因での時短勤務や休職がとれるところがほとんどない。高齢者の介護より難しい問題だということを理解してもらって、子どもの不登校に関しては休職の制度を入れるなど、パートナーの休みも認められるようになったら皆さんの気持ちが楽になるのでは」
親子の距離、近くなりすぎるとリスク
精神科医の熊代亨氏は“現代ならではの難しさ”として「以前であれば不登校の子どもを祖父母などに任せられたが今は難しいケースが多い。親御さん自身の社会関係が少なくなった影響もあるだろう」と説明。
さらに、「子どもが心配だからずっと付き添っていたい、という親の気持ちはわかるが親子の距離感近くなりすぎるとリスクもある。対策として例えばフリースクールなど、親子が距離を取る時間があると実はお互いとても楽になる」と述べた。
(『ABEMAヒルズ』より)
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