■中国の各地で無差別殺傷事件…犯行の理由は?
中国で続く無差別殺傷事件。社会学者で東大院教授の阿古智子氏は、湖南省で起きた事件の背景について「車で突っ込んだ犯人は所得が低いなどではなく、離婚訴訟に不満があったと聞いている。当局の発表では個人的な問題とされているが、司法制度や裁判が不公正だと感じた可能性もある」と述べた。また、職業訓練校で学生らを刃物で切りつけ8人が死亡した事件については、「(犯人は)16時間働かされ給与が未払いだった。労働法の進歩を求める手紙を書いていた。政府の法律や政策、システム、司法のあり方に意見があるような人たちが絶望した中で、無差別にそういった事件を起こした可能性がある」と説明した。
人権派弁護士ながら、中国で資格を剥奪されて来日した李金星氏は「悲しいことだ。我々の国でこんな事件が起きるとは思わなかった。中国で20年間働いた弁護士としては悲しく思う。中国社会の矛盾が激化していることを露わにしている。法律で解決できるはずの問題が解決されず、心理的にも経済的にも人々は安心感を欠いている。人々が自分を愛していないし、他の人も愛していないという形になっている。多くの矛盾、社会的な紛争は法律を通して解決できるはずだが、中国の法律の制度は日本のような形にはなっていない」と指摘した。
中国国内における法の運用について、李氏は「中国のGDPが成長し、市場も拡大する中で法律に対する要求が高まっている。しかし、現状の法律制度は未完成。個人の財産や自由を保護するための法制度が不足している」と急速に発展した経済に比べて法律が追いついていないという問題点を挙げた。
また「過去の40年間、中国は非常にプラスのイメージとして世界に登場しているが、最近になって、急に経済が悪化しているし、またこういった殺人事件が急に増えているということで、みんなが全土に対する失望感や不安を非常に抱えている」と付け加えた。
■Pick Up
・「ABEMA NEWSチャンネル」がアジアで評価された理由
・ネットニュース界で話題「ABEMA NEWSチャンネル」番組制作の裏側