■「ガイドラインで規定しきれないことは法律で解消を」
伊藤氏は「(2022年に作られた)ガイドラインで規定しきれない部分は、法律を作らないと解消できない。安定的な運用や安心安全の担保を国がするべき」と、法整備の必要性を改めて指摘。具体的な問題には、出自を知る権利や、出産費用などがある。
「実は今作っている特定生殖補助医療の法律で、出自を知る権利を国が100年間担保する、というものをようやく生むことができそうだ。これは精子・卵子の話だけだが、内密出産や特別養子縁組まで広げられるので、なんとかやっていきたい。制度の安定的運用にはまだまだ課題がある。お金の話や妊婦健診を受けられずに産むことによる医療事故や訴訟、係争。それから実施機関の選定は、拠点を増やしていく上では絶対に決めないとダメ。そして、どこまで母親の権利・プライバシーを守るのか、子どもの権利として福祉の観点で情報を取ってくるのか。(母親のプライバシー権と子どもの知る権利は)相容れないが、結論を出すのは自治体ではなくて国だ。
母親が情報を知られたくないという点も、まさに今特定生殖補助医療法で詰めている。“あなたはこういう産まれ方をした”“あなたはこういうルーツだ”と知っていないと、自分の情報にアクセスできない。アクセスした時には、どこまで出すか、何歳で出すかを国が担保できているか。ただ、アイデンティティを保つために知りたい情報は子どもによって違うはずで、“全てを知ることが出自を知る権利だ”と決めつけるのは傲慢だと思う。なので、そこも含めて精緻に進めている」と説明した。(『ABEMA Prime』より)
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