内申点のために生徒会に入る? 部長になる?

小・中学校における不登校の状況
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 内申点は調査書に書かれた各教科の成績を使って算出するが各都道府県によって方法が異なる。例えば東京都の場合、中学3年生のみの評定を使い、5教科は1倍、実技4教科は2倍となっており、高校受験では学力試験7割、内申点3割で評価される。一方、兵庫県では学力試験5割、内申点5割など各県によって比重は様々で、一般的に内申点の比重はおよそ30%から50%となっている。

 加えて、内申書には部活動や生徒会活動など、日常生活でどんな活動をしていたかを記載する箇所の他に欠席数を記載する箇所が存在する。つまり不登校の生徒は明確に不利になるのだ。

 そんな内申書制度にはどのようなメリットがあるのか?

 ID学園高等学校によると「(授業態度など)学力以外の要素を評価できる」「長期的な学習状況を把握できる」「(当日のテストで結果が振るわなかった生徒にもチャンスを与えられるなど)公平性を確保できる」などが挙げられている。

 日本若者協議会代表理事の室橋祐貴氏はこれらのメリットに同意しつつ「学力が高い地域の中学が不利になる点は否めない」として“公平性”については一定の疑問を呈した。

 では、内申書制度にはどのようなデメリットがあるのか? 室橋氏は以下の3点を挙げた。

「評定という形で“ランク付け”されるため、子どもたちの自己肯定感の低下に繋がりやすい」

「『校則を変えてほしい』など“本音”があっても隠す、あるいは、内申点のために生徒会に入ったり部長になるなど、“大人の目線”を気にしながら行動するようになる」

「自分が知りたいことを深掘りしていくという探究学習を進めようにも『試験を行って評価する』必要があるため、結局同じ進捗になってしまう」

 その上で室橋氏は「アメリカやヨーロッパでは基本的に高校入試がなく、地域の学校に進学する。中学生の段階では自分で選ばず、興味関心や得意不得意はっきりした大学入試の段階で選ぶ形になっているのだ」と説明した。

 では、現在の内申点の制度をどのように変えればいいのだろうか?

 室橋氏は「ボランティアやスポーツ、生徒会活動などの記録欄を廃止し内申点だけの記載に改めた広島県の取り組み」がヒントになると指摘した。

「広島県では先生が生徒を評価するのではなく、全ての受験生が面接のような形で自身をアピールする『自己表現』を課している。ここでは自分の好きなこと・得意なこと・将来やりたいことをプレゼンする。自分の言葉で伝える機会を増やすことは探求の流れなども踏まえると良いのではないか。そして、広島では“特色枠”として学校ごとに『筆記試験』『内申点』『自己表現』の割合を調整することで学校ごとの特色が出せるようにしている(“一般枠”は筆記:内申:自己表現=6:2:2)。受験生に様々な選択肢を用意できるのが最適解ではないか」

 最後に室橋氏は「子どもたちは大人の目線や受験のプレッシャーで疲弊してしまってる。今の競争的な環境を是正しなければ、子どもたちは自分で時間をかけて考えたり、主体的に選択することができない。まずは大人が考え方を変える必要がある」と述べた。
(『ABEMAヒルズ』より)

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