■2度目の弾劾訴追案、可決は確実視

韓国の国会
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 「民主化後、1987年に改正された憲法にも残された戒厳は本来、「戦時・事変又はこれに準じる国家非常事態」に限って発動されるものだが、少数与党の国会で自身の政策が法案、人事、予算の形で思い通りに行かなかった尹大統領による “自己クーデター(self-coup)”だ」と浅羽氏は言う。「脅迫観念、しかも「包囲されたマイノリティ」意識に囚われ、ある種の陰謀論に陥っていた」と重ねる。「国会が思い通り動かないので、それを打開するために国会と選挙管理委員会に軍隊を送ってしまうというのは、明らかに憲法違反である」。2度目の弾劾訴追案については「与党・国民の力からも造反が8票以上出ると可決で、大統領の権限行使停止、国務総理が権限代行に就くという流れになることは、遅ればせながら当然とされている」という。

 さらに「国会だけでなく、国会議員一人ひとりが憲法機関だ。国会は政府・大統領がめちゃくちゃした時にしっかり牽制をして、チェック・アンド・バランスを効かせ、憲政秩序をギリギリのところで保つという使命が、与野党、左右を問わず、国会、国会議員に課せられている。再び票決に参加もしないとなると、尹大統領に「与(くみ)」し続ける「党」は尹大統領と共滅の道を歩むことになる」と、前回は与党議員のほとんどが投票に参加しなかったものの、今回は可決に票を投じる議員が一定数出るとの見通しを語った。

 2度目の弾劾訴追案が可決された場合の流れはどうなるか。まず憲法裁判所における審判に移るが、法律上では180日以内に決定が出る。朴槿恵元大統領が弾劾制度によって罷免された際は約3カ月、盧武鉉元大統領の場合は罷免にならなかったが、約2か月だった。浅羽氏の見立てによれば「3カ月前後で憲法裁判所の決定が出て、罷免となればそこから60日以内に大統領選挙になる。当選と同時に就任する」と説明。弾劾訴追案が国会で可決された場合には、その時点で尹大統領の大統領としての権限行使は一切できなくなり、代わって国務総理が権限を代行することになる。

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