■昨年度は7万8650件もあった本人訴訟
2023年度、地方裁判所で行われた通常訴訟(第一審)のうち、7万8650件が本人訴訟だという。重罪事件や未成年だと本人訴訟は認められないが、民事であれば基本的に制限はない。深澤氏は「インターネット事件では、結構本人訴訟が増えている印象だ」とした。
さんきゅう倉田は、アパートを転居する際、敷金が戻ってこないことに対して、本人で訴訟を起こし、相手も弁護士をつけていなかった。「弁護士に相談すると、敷金が5万円なので(弁護士費用が)絶対にそれを上回ると思った。自分でやるしかないと考えて、自分の投入する時間と、これぐらい返ってくるかなという金額を計算して、費用対効果を考えてやることにした」。まるで法律の知識はなく、図書館で本を3冊借りて勉強。費用対効果としては「時給にしたら3000円ぐらいだった」。
実際に1人で法廷に立ち、裁判に臨んでどんなことを感じたか。「僕にとっての被告は、僕のお金を取る悪い人だった。悪い人を懲らしめてくれる、正義に適った判断をしてくれると思ったが、裁判官は黙っていたら何もしてくれない。こっちの主張とか立証を正しいかどうか判断するだけの人。別に僕の味方ではないというのが分かった」と述べた。裁判官からは、しきりに和解を勧められたが、さんきゅう倉田はこれに応じず、判決では3万5000円を得る勝訴になった。
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