まさかいきなり主人公が操るガンダムがボコボコにされるなんて、当時は誰も予想できなかっただろう。アムロ・レイ(CV:古谷徹)がガンダムに乗って出撃し、シャア・アズナブル(CV:池田秀一)の操るシャア専用ザクと対峙した。しかしアムロはシャアのスピードに翻弄され、近接戦闘で手も足も出なかったのだった。
【映像】シャアがザクでガンダムを圧倒する瞬間(15分51秒ごろ~)
地球連邦軍のホワイトベースは、生き残った人々を乗せてスペースコロニー・サイド7を脱出し、連邦軍の宇宙要塞基地「ルナツー」へと向かっていた。シャアの乗る軽巡洋艦ムサイはホワイトベースと付かず離れずの距離を保っていたが、攻撃を仕掛けてくることはなかった。その理由をミライ・ヤシマ(CV:白石冬美)は“武器を使い果たしているのではないか”と考えていた。
ムサイに接近する船の存在をキャッチしたミライは、ブライト・ノア(CV:鈴置洋孝)に「シャアのムサイに武器を補給させる前なら、私たちにもアムロにも戦えるかもしれない」と進言。ブライトは艦内の戦闘可能な人々を招集し、攻撃に出ることを決定した。
ブライトの指揮のもと、アムロはガンダムで出撃した。太陽を背にしたアムロは、補給艦から武器やザクを補給しようとしていたムサイを狙いミサイルを発射。見事に命中させた。
攻撃を受けたシャアは即座に指示を出すと、自らシャア専用ザクに乗り込み、ガンダムと再び対峙した。前回の戦闘ではガンダムの性能に驚かされたシャアだったが、経験豊富な彼は「モビルスーツの性能の違いが、戦力の決定的な違いではないと教えてやる」と自信を見せる。
“赤い彗星”の異名を持つシャアは、抜群の機動性でアムロを翻弄した。シャアのザクはガンダムの背後を取り、ガンダムの腹部にパンチを叩き込む。さらにタックルで体勢を崩し、強烈なキックで追撃を仕掛けた。こと近接戦闘では、シャアがそのセンスを見せつけた格好となった。
とはいえ、ガンダムの性能は想像以上。一連の打撃でビクともしないガンダムにシャアは「連邦軍のモビルスーツは化物か!これだけの攻撃でも……」と苦々しい表情を見せていた。
結局、ムサイからのSOSを受けたシャアは、ガンダムとの戦闘を中断して去ることになったが、もしこのまま戦い続けていれば、どんな結末を迎えていたのだろうか。そんな妄想を膨らませずにはいられない一戦だった。
アニメ「機動戦士ガンダム」は1979年4月から1980年1月まで放送されたサンライズ制作のロボットアニメで、富野由悠季監督が手掛けた作品。“リアルロボットアニメ”という新ジャンルを開拓し、以後のアニメに多大な影響を与えた。放送当時の視聴率は振るわなかったものの、再放送や劇場版の公開で人気が急上昇すると、「ガンプラ」ブームも生まれるなど空前のヒットに。現在に至るまで数多くのシリーズやスピンオフなどの派生作品が制作され、高い人気を誇る。
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