自然豊かな群馬県の尾瀬で、大きな荷物を背負って山道を歩く男性たち。荷物の重さは70キロ以上。これは何という仕事なのか。萩原雅人氏は「自分がやっている仕事は“歩荷(ぼっか)”だ。山小屋から、“この日はこれを持ってきて”と言われるものを運んでいる」と話す。
歩荷とは、車やヘリコプターなどでは行けない山小屋などへ物資を届ける専門の仕事。主に運ぶものは食品、水、プロパンガスなどだ。70キロ以上の荷物を背負い、険しい道も歩かないといけない。『ABEMA Prime』では、この道10年の萩原氏に、知られざる歩荷について話を聞いた。
■歩荷をしている萩原雅人氏(31)
萩原氏(31)は群馬県尾瀬の生まれで、祖父の職業も歩荷だった。 「おじいちゃんが30歳から70歳までの40年間やっていた。多分、歩荷の唯一の家系だと思う」。歩荷を始めたきっかけについては「当初、家業を継ぐ意識はなかった。ただ、冬にスノーボードをやっているから、グリーンシーズンに何をしようか考えたとき、歩荷をやろうと思った」と話す。
70キロ以上の荷物を背負うために、「まずは30キロぐらいから背負っていき、身体を作っていった」といい、続けていくことで「足の付け根の筋肉がすごいつく。筋肉よりも重心軸が大事。頭から真っすぐに立つことだ」と説明。
また、最も重要なこととして「パッキングがこの仕事の8割、9割大事だ。持ち方よりも準備。例えば100キロ背負う場合は、頭から下が50キロ、頭から上が50キロと作ると重心が頭にくる。そうすると体全体で荷物を運ぶことができる。それが人間の身体の仕組みになっている」と補足した。
身の危険を感じたことはないのか。萩原氏は「めちゃめちゃある。95キロの荷物を先輩3人と一緒に、リレー方式で背負った現場があった。その時に、右を見たら断崖絶壁で、落ちたら死ぬ、と。深呼吸したり、精神的にも安定をさせて運び届けることがとても大事だ」と答えた。
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