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【映像】解説棋士のリアクション

 将棋藤井聡太竜王・名人(王位、王座、棋王、王将、棋聖、22)が1月8日、東京・千駄ケ谷の新将棋会館で指された第10期叡王戦本戦トーナメント1回戦で新年初勝利を飾った。昨年失冠した叡王再挑戦とともに“八冠奪還ロード”一歩目となる注目の一戦に快勝。解説棋士からは「一分の隙もないパーフェクトな将棋」と驚きの声が上がっていた。

【映像】解説棋士のリアクション

 新会館での初対局、タイトル戦の予選対局は532日ぶり、と多くの注目を集めることとなった藤井竜王・名人の新年初。増田康宏八段(27)との一戦は振り駒で藤井竜王・名人の先手となり、得意の角換わりの進行となった。後手の増田八段は「やってみたかった作戦」という前例の少ない形に工夫を披露。叡王奪還を目指す藤井竜王・名人も強気の応手を見せ、激戦へと発展した。

 藤井竜王・名人は中盤の折衝を経て堅陣を築くと、2枚の馬で後手陣を圧倒し主導権を握ることに成功。長考を重ねて持ち時間を消費した増田八段は入玉を目指すこととなった。ABEMAで解説を務めた深浦康市九段(52)、三枚堂達也七段(31)からは「点数勝負?」の声も上がっていたものの、藤井竜王・名人は“絶対寄せ切るモード”が発動。ABEMAの「SHOGI AI」の5つの候補手にはなかった金打ちの一手で後手の入玉を阻止してみせた。

 この一手に、深浦九段は大混乱。「(自分なら)絶対に受けないけどな…。セーフティーなところから行きたくなりますよね。入玉させないための手ですが、いくつ候補を挙げれば出るんだろう。出ないですよ、この金は…」と驚きを隠せない様子だった。

 新しい角換わりを目指した将棋となったが、藤井竜王・名人は増田八段の粘りを断ち切るように冷静な指し回しを見せて快勝。「早い段階から経験のない形となったが、形勢判断の難しい局面に対していろいろ考えていけたことは収穫になった」とコメント。新年に新しい将棋会館で白星を手にしたことに対しては、「久しぶりの公式戦対局でもあったが、一局を通して集中して指すことができた。対局室も綺麗になり、改めて良い対局室になったのかなと感じた。その中で自分自身も集中して良い状態で対局に臨むことができた」と充実ぶりをうかがわせていた。

 目の覚めるような快勝を飾った藤井竜王・名人に、深浦九段は「一分の隙もないパーフェクトな将棋」と絶賛。週末に開幕するALSOK杯王将戦七番勝負でも対戦する永瀬拓矢九段(32)の持ち味でもある「負けない将棋」を彷彿とさせる受けの手が光ったことも指摘し、「丁寧な指し回しで完璧な内容だった」と評していた。

 収録対局を除く公式戦では、昨年12月12日に閉幕した竜王戦七番勝負第6局以来の対局。パーフェクトな“藤井将棋”を堪能したファンからは、「藤井曲線 新春から縁起がいい」「新年早々強い聡太が見られて嬉しい」「タイトル戦前に鬼だな」「パーフェクトゲーム」「綺麗な勝ち方」「楽しい将棋」「こういうの大好物」「どうやっても寄せる本能」と多数の声が寄せられていた。
(ABEMA/将棋チャンネルより)

【中継】第10期 叡王戦 本戦トーナメント 藤井聡太竜王・名人 対 増田康宏八段
【中継】第10期 叡王戦 本戦トーナメント 藤井聡太竜王・名人 対 増田康宏八段
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