【写真・画像】スイス・フランスは実現、アメリカはまだ…「ネット選挙」のメリットとデメリットを考える 1枚目
【映像】ネット選挙のデメリットとは?
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 投票日に投票所へ行き、投票用紙に記入するのが基本の選挙。一方、若い世代を中心に期待されているのが「インターネット投票」の導入だ。

【映像】ネット選挙のデメリットとは?

 海外の動向を調査・研究している情報通信総合研究所 上席主任研究員の水野秀幸氏によると、エストニア、スイス、フランスなどヨーロッパ、オーストラリアやニュージーランド、中東のUAEやオマーン、そしてカナダなど一部の国ではすでにインターネットによる投票が始まっているという。

 中でもエストニアでは全有権者がネット投票でき、今では全体の半数程度を占めているという。その背景にあったのが、2002年に開始した全国民に配布されるICチップ付きのカードで、行政サービスや投票など様々なことがオンラインでできる。
 

情報通信総合研究所 上席主任研究員の水野秀幸氏
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「日本でのマイナンバーカードのようなもので選挙権がある人かどうかを認証する。投票する際にはIDと誰に投票したかは切り分けられ、誰の投票かは捨てられた状態で票が入る仕組みだ」(水野氏、以下同)

 また、買収や強要など、他人からの圧力による投票を防ぐために、選挙期日まで投票し直せるという独自の方法を導入している。

 実現すれば開票作業の簡略化や投票自体が容易になるなど、様々なメリットがあるネット投票。技術的には可能であっても、多くの先進国では導入が進んでいない状況だという。

「検討している国は多いが、アメリカなど大きな国であればあるほど簡単には進まない。導入するか決めるのは選挙で選ばれる人たちであるため、どうしても慎重に検討せざるを得ないという背景はある。投票率を上げようと検討していたもののエストニアの動向を見て、『そんなに期待できないね』となった国もあったようだ」

 ネット投票の割合は増えたものの、投票率全体が飛躍的に上昇したわけではない。総票数はそもそも「投票する意思がある人たち」で構成されており、そこにはさほど変化は生じない結果になっていると水野氏は話す。
 

情報通信総合研究所 上席主任研究員の鹿戸敬介氏
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 日本でも度々議論が起きているネット投票実現に向けた動きについて、同じく情報通信総合研究所 上席主任研究員の鹿戸敬介氏に聞いた。

「2019年と2020年に総務省が主体となってインターネット投票の試作機を作って、実際に操作や投開票にかかわる市区町村自治体の協力を得て投票行為・開票集計という一連の投開票の流れの検証事業を行っている」(鹿戸氏、以下同)

 マイナンバーカードを利用した実証実験では、大きなトラブルは発生せず、参加した自治体や有識者からも高い評価を得たといいう。ただ、投票が困難な海外にいる有権者を念頭に置いた検証で、国内での全面解禁に向けては国民からの理解や制度改革など、まだまだ多くのハードルが残っている。

「現在の制度は、規定の場所に行って投票することを前提としているため、インターネットという形でどこからでも投票ができるようになるにはその部分の整理が必要になる」
 

インターネット投票のメリット・デメリット
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 インターネット投票のメリット・デメリットについて教育経済学を専門とする慶應義塾大学の中室牧子教授は「コスト削減になるメリットは将来的に重要だ。日本は人手不足の問題を抱えているにもかかわらず4万カ所以上も投票所があり、各所に人員が必要になっている。デメリットにはサイバー攻撃があるが、ネット投票を導入している国はそもそも“ネット1本”に絞っているわけではなく紙の投票所と併用している。万が一、自分のマイナンバーカードがうまく機能しないなどの場合は紙の投票に切り替えればいいのだ」と説明した。

ネット選挙 日本の導入状況
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 また、鹿戸氏が述べたネット投票の導入状況について中室教授は「これは2つの理由から進めないといけない。1つは若者の投票率を上げることに寄与する可能性があるからだ。今、60代と20代を比較すると10〜15ポイントほど投票率に差がある。高齢の有権者は投票率が高く、その層が今の与党の支持者になっている。果たしてこれは本当に民意を反映していると言えるのだろうか? 2つ目はもっと国民の声を高い頻度で聞くべきだからだ。パリでは予算を教育に使うか、あるいは高齢者医療に使うのか市民の投票で決められる仕組みがある。日本もネット選挙を使うことでもっと市民の声を吸い上げやすくするべきだ」と指摘した。

 とはいえ、2003年岐阜県可児市にてサーバーが落ちたことで無効選挙になった過去もある。抵抗感を払拭していくことが求められている。

 中室教授は「今年、大阪・四條畷市が電子投票にトライする。このような実証実験を積み重ねていけばいずれ当たり前になるはずだ。やってみないと始まらない。それが多数派になれば、なかった時代が懐かしく思えるぐらい、普通になるだろう」と述べた。
(『ABEMAヒルズ』より)
 

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本記事は自動文字起こしツールや生成AIを利用していますが、編集部の確認を経て公開しています。

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