ヒトメタニューモウイルス
【映像】ヒトメタニューモウイルス、インフル、コロナの比較図
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 呼吸器系の感染症を引き起こす「ヒトメタニューモウイルス」が、中国で感染拡大している。 

【映像】ヒトメタニューモウイルス、インフル、コロナの比較図

 中国国内の小児科病院では、多くの患者が押し寄せ、廊下にまでベッドを並べるほどの事態となった。2001年に発見されたウイルスで、特効薬やワクチンはないというが、WHOのハリス報道官は「深刻な症状になることはない」と、過度に恐れる必要はないとした。

 日本政府も、福岡厚生労働大臣が「中国における流行により、直ちに特別な対応が必要とは考えていない」との見解を示した。しかし日本でも感染が確認され、Xでは「春節の大移動で日本もヤバい」「病院がパンクしないか心配」との声も見られる。

 日本ではインフルエンザが感染拡大して、現在の方法で統計を取り始めた1999年以降で、最多の患者数に。治療薬の製造が間に合わず、出荷調整や供給停止が相次いでいる。新型コロナも5週連続で増加となるなか、『ABEMA Prime』ではヒトメタニューモウイルスの実態と、感染対策について専門家に聞いた。

■ヒトメタニューモウイルスとは

古瀬祐気氏
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 ヒトメタニューモウイルス自体は、珍しくないありふれたウイルスだ。2001年にオランダで発見され、2歳までに世界人口の7~8割が感染。複数回感染し、徐々に抗体が強くなる。検査しないため「単なる風邪」扱いで、症状はせきや鼻水など、RSウイルスに近い。ワクチンや特効薬もない。

 コロナ禍に厚労省クラスター対策班のメンバーも務めた、東京大学新世代感染症センター教授の古瀬祐気氏は「発見されたのは2001年だが、おそらくずっと前から流行していた。一般的な風邪のような呼吸器症状も、全体の10%程度は、このウイルスが原因と考えられている」と語る。

 ありふれているため、あまり検査はされないが、「北海道大学の調査で、1歳になるまでに人口の半分以上、小学校入学までに8割、卒業までに100%近くが一度はかかる」といった研究結果が出ているという。

 そもそも病名としての“風邪”は、「医学的には“急性感冒”や“急性呼吸器感染症”と呼ぶ」といい、「病院に行くほどではない軽症なものは、ライノウイルスが原因で、これが全体の半分以上だ。ヒトメタニューモウイルスは『ありふれている』と言ったが、風邪の原因としては、RSウイルスやインフルエンザに次ぐくらいで、『少し危ない風邪』に該当する。特に小さい子がかかりやすく、RSが1歳になる少し前、メタニューモは1歳台が中心となる」と説明した。

■なぜ中国で流行?
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