人身取引の被害者であるYさん(21)によると、「多いのは風俗関係の仕事紹介」だという。中には海外の「日本人がブランドになる場所」の紹介もあり、Yさん自身が「お金稼げるところに紹介して」と頼むこともあったそうだ。
Yさんは児童養護施設で育ち、愛情を求めて歌舞伎町のホストクラブに通い、借金は約1年で150万円以上に。立ちんぼをしていたとき、スカウトに声をかけられた。名前や体重、スリーサイズといったフォーマットに記入して、「顔とスタイルがわかる写真」を送ったと振り返る。
主な採用条件として、出勤は12時間、年齢は18〜30歳で、タトゥーはワンポイントならOKだ。出勤日に“写メ日記”を4件投稿しないと、給与から1000円引かれる条件もある。
今回摘発されたスカウトグループでは、顔立ちや身長・体重、年齢、髪の色、歯列矯正、胸の大きさなどで判断し、女性を8段階にランク付けしていた。自撮りなどの写真をもとに、オークション形式で、高報酬の店に女性を斡旋していた。
Yさんは最長1週間で、多くて約30万円を稼いだと語る。スカウトグループによる紹介システムは「ありがたい時もあった」が、「スカウトに利益があるのはなぜか」との疑問もあった。しかし、人身取引されている認識は「全くなかった」という。スカウトによる人身取引には、アダルトビデオの出演や個人撮影などもある。
当初は、担当ホストに会えることがモチベーションになったが、「回数を重ねるごとに、気持ちが病んでいき、『どこかで辞めなきゃ』となった。風俗で働き始めたことが後悔」と変化していったそう。
悪質な人身取引を防ぐため、活動している人がいる。NPO法人「レスキューハブ」の坂本新代表は南米やロシアなどで日本大使館の警備の仕事をしていた人物。その時、生活のため路上売春をする女性の姿を目の当たりにした。帰国後、人身取引の被害者を支援するNPOで働き、現在は歌舞伎町で夜のパトロールを行っている。カイロやリップクリームなど、「若い女性が喜んで使ってくれそうなグッズ」とともに、相談カードを配っている。坂本氏は「日本の人身取引・特に性的搾取は可視化されにくい。ホストクラブの売掛金のために売春をするとか、アダルトビデオの出演強要被害など、女性を支配下に置いて、第三者が利益を取る形は、あたかも本人が選んでやっている形に見えやすい」と警鐘を鳴らす。
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