■「おいしい地方議員に自分もなっちゃいけない」
議員のあり方に疑問を抱くのは、宮代氏だけではない。神奈川県秦野市議会議員で、写真家でもある伊藤大輔氏(48、無所属2期目)は、著書『おいしい地方議員』で問題提起している。「“おいしい”というと、待遇が注目されがちだが、なり手が少なく『兼業もありだ』という意味が1つ」。
加えて、「次世代に影響をおよぼすやりがいのある仕事」「自分がうまみを吸う議員になってはいけないとの自戒」が込められている。「地方議会を見ていると、ネジが数本抜けているような人もいる。ただ、議員はみんな地域のために頑張ろうとは思っている。寝るのは問題外だが、公務はサボっていない。議員は評価が難しい職業だ」とも語る。
地方議会では、執行機関である知事・市町村長・行政委員会と、議決機関である議会の両者が政策を作り、相互にチェックし自治を行う“二元代表制”が採られている。住民は執行機関と議決機関をそれぞれ選挙で選び、執行機関は議案の提出・解散を、議決機関は議案の議決・不信任決議を行う。
伊藤氏によると、地方議会の多くは“オール与党”化しているという。「秦野市議会では10年間、市長提出議案に一度もノーが示されなかった。二元代表制によるチェックが機能せず、仕事していないと捉えられてもおかしくない。自分たちの期末手当を上げるための議員提出議案しか出さない」。
そんな中、「議員は、しゃべらせれば本気度が一発でわかる」と指摘。「パフォーマンスを見て評価してもらいたい」との思いがあるが、「今の議会中継システムでは、視聴のハードルが高い。YouTube導入を求めても、議会運営委員会が『誹謗中傷もあるから、今はやめておこう』となる」のが現状だそうだ。
■堀潤氏「地方の選挙を変えないと全体が沈む」
