■消防団員、減少の理由は
災害時には頼りになる消防団員だが、普段は別の仕事をしている“掛け持ち”だけに、人手不足が続いている。畑中さんは「誘いたいが若者自体が少ない。仕事の都合などで、なかなか入団してもらえない」と語ると、消防団の現状・課題に詳しい関西大学教授の永田尚三氏は「団員数の減少は非常に深刻な問題。能登半島地震では、道路が寸断されて外部からの広域応援が到着するのが非常に遅れた。到着しない間、自分の地域だけで踏ん張らないといけない。また能登は非常に小規模な消防本部で、職員も200人いないぐらい。かつ管轄区域だけ圧倒的に広い。消防士がいない地域がたくさん出た状況では、被災者の方々を救出するのは消防団しかいない。消防団の役割、重要性が再認識された」と解説した。
消防団員の不足を生む課題としては、少子高齢化による若年層の人口減少、年への人口流出、都市での地域コミュニティ崩壊、労働人口における被雇用者(サラリーマンなど)の割合増加で、消防団員としての活動時間を確保するのが困難、といったものがある。現在、全国には2174団、74万6681人の消防団員がいる。報酬は3万6500円(団員)で、出動は1日当たり8000円だ。
災害などが発生した際、いきなり消防車を走らせ、ポンプを操作することもできない。そのため定期的に集まり訓練を行う。年に1回行われる全国消防操法大会は、訓練のモチベーションアップにつながっている一方、大会自体が競技性を求めるあまり、実際の消防活動との乖離が生まれているという指摘もある。永田氏は「大会への訓練は、機械的に動作を覚え込ませる意味では、非常に合理的。ただ操法訓練が始まったのが関東大震災後ぐらいで、100年くらい変わっていない」と、必要な動作を覚えられる利点とともに、建物や操作する機械の進化に対して、訓練がマッチしているかという課題を同時にあげた。
■火を消すだけじゃない「機能別団員」も
