■「医師不足ではなくて、患者不足」
若い医師が地方で働きたくない理由には、「診療や手術経験を増やしてスキルを高めたい」、「技術的にも最新の医療を学びたい」、「切礎琢磨し合える同僚や先輩が欲しい」、「子どもや家族の事情を考えて都会がいい」、「今後開業など独立も考えると都市部が効率的」などが挙げられる。
作家・ジャーナリストで、人口減少対策総合研究所の理事長、河合雅司氏は、地方の診療所が減っていることについて、「医師不足ではなくて、患者不足が起こっている」との見方を示す。「例えば、若い先生が地方の医師になり、そこから人生が40年、50年とあるわけだ。その間、医療機関の経営ができるのかというと、あまりにも人口が減ってしまい、利益が上がってこない。看護師さんなどに給与が払えないことになってしまうので、どうしても患者の数が多いところに行かないと、なかなか診療所は経営できない」。
地方で開業することについては、「親が医師で、その子どもが継ぐというパターンが多いが、なかなか継ぎづらくなってきている」と話す。また、「医師も地域の生活者の1人なので、親のこと、子供の教育の問題もあって、これは医師不足の話なのかということだ。他のいろんなサービスも、実は過疎地域からなくなっていっていき、全体が縮小してしまっている。その1つの事例として捉えないと、この問題はわからないと思う」とした。
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