■トランプ氏の重圧にも「カナダ人はできるだけ妥協して、問題を解決する」

アメリカとカナダの攻防
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 トランプ氏がかけてきた“関税プレッシャー”や言動について、カナダ国内はどんな雰囲気なのか。バンクーバー在住、カナダで起業&移住をサポートしている河本真氏は「やはり急にこのような展開なので、みなさん正直なところ追いつけていない印象だ。喫茶店やコーヒーショップに行くと、みなさんトランプさんの話をされている」。反米感情の高まりについては「どちらかと言うとトランプさんに対する特別な感情というか、そういったことを持ち始めている方が多い印象だ」と述べた。

 国際基督教大学教授、アルバータ州育ちのスティーブン・ナギ氏も「アメリカよりトランプに対して怒っている人がいる。今までアメリカとカナダの関係が冷静で友好的な、国として関係が続いていた。トランプの喋り方とか言葉の使い方とかいじめのことは、今まで経験がない。普通のアメリカ人を信用できるが、トランプ政権はいろいろなところで疑問がある」と語った。また、一旦は双方で関税をかけあうといったところから、対話によって1カ月の時間を作ったトルドー首相、カナダの国民性については「カナダ人はできるだけ妥協して、お互いに問題解決して、違う意見があってもできるだけ相手の気持ちを理解しながら仲良くなる。ある意味ちょっと日本と似ていると思う」と述べた。

 アメリカはどこまでカナダに厳しく出続けるのか。作家・ジャーナリストの佐々木俊尚氏は「アメリカの自動車会社の工場はカナダにたくさんある。アメリカの経済そのものが、カナダに天然ガスとか石油に頼っているところが多い。カナダにとってアメリカは最大の輸出国だ。アメリカにとってもカナダは非常に重要な国だ。そもそも分離するという考え自体に無理がある。ただ、トランプが本気でこれを考えているかというと、そんなわけはない。よく『ディール』という言い方で、なんでも2国間取引をやりたがる。最初にドカンと爆弾をぶつけて、相手が驚いている時に、次の交渉を始めるというようなやり方を長年かけてやってきた」と、今回の関税25%についても、本当に実行しようとは思っておらず、交渉を自分が有利に進めるための“ブラフ”だと解説した。

■トランプ氏が与える西側諸国への影響は
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