■奈良県で韓国との交流K-POPイベント 予算2億7000万円 県議会でも賛否
奈良県は2024年12月、K-POPイベント開催を決定した。友好提携を結ぶ韓国・忠清南道との文化交流で、2025年10月開催。9000人規模、入場無料としているが、予算2.7億円に県議や県民から、「経済効果は?」「無料?」「奈良は貧乏なのに…」など反対の声が出ている。そして今月、奈良県・山下知事が圧縮案を提示した。予算3000万円で、有料化やクラファンも検討し、会場は屋内(1500人規模)に変更するという内容だ。
奈良県の工藤将之県会議員(日本維新の会)は、高額な予算は問題だが、K-POPイベントの開催には賛成との立場だ。「K-POPというより国際交流イベントとして賛成しているが、2.7億円は私も非常に大きく、知事に『できるだけ圧縮して』と伝えている。2.7億円か、3000万円か。知事は厳しい選択を迫られている」。
奈良県の永田ゆづる県会議員(自民党)は、2024年12月の議会で、イベント開催に反対を示した。「県は忠清南道から、舞台や音響、照明など、細かい指定を突きつけられた。そのひとつに『9000人程度で無料参加』もあった」。アーティストの出演費用は「渡航費を含めて韓国側が持つ」予定だという。
永田氏は「対象とする9000人が誰かは、今も決まっていない」と説明する。「奈良県民だけではなく、大阪や兵庫から大勢来る可能性もある。奈良県の公金2.7億円を県外の人に支出する可能性があるのは、妥当性がないと考えている」。
一方で工藤氏は、「決して県民対象でないとダメという議論にはならない」といい、「遠方から来た人が、宿泊やお土産を買ってもらえれば、経済効果が出てくる」との見解を示す。
イベントそのものが中止される可能性はないのか。「知事が定例会見で話していたが、このイベントは文化交流事業で、(K-POP以外にも)日本や韓国の伝統芸能や、日韓学生のダンスが披露される。若者の文化交流イベントでもあり、なくなることはないとしている」。
作家でジャーナリストの佐々木俊尚氏は、「公金を投下することが『無駄遣い』だという発想はやめた方がいい」と語る。「デフレ時代にコスト削減ばかり考えて、お金を出すことにシビアになっているが、考えるべきは『経済効果があり、将来に継続性があるか』だ」。
2000年代に入って、地方の音楽フェスが急増したと振り返りつつ、「東京から来たフードトラックで食事するから、地元に経済効果がないという指摘もある。それと同様に、どこまでK-POPイベントにより、奈良県民の『文化的な意識変化』があるかを計算する必要がある。今回のイベントは、まだ費用対効果の分析が足りないのでは」との考えを示す。
奈良県は昨今、今回の件のみならず、各種イベントを続々と廃止している。安藤は「地域の文化に触れるのは大事だ。奈良の文化を見られるチャンスでもある。祭りは各地で色が異なる。経済的に維持するのが大変な祭もあり、ぜひそれを復活させてほしい」。
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