■加藤さん「誰かの快適さを求めると誰かが不快に感じる世の中でどう寄り添えるか」

感覚過敏の仕組み
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 加藤さんは「自分にとって快適な服を作りたい」との思いから、自らアパレルブランドを立ち上げた。「市販品は生地や縫い目、首元のタグが痛くて着られないため、縫い目を外側にして、タグのない服を開発している」と説明する。

 部屋では間接照明、外出時はノイズキャンセリングのイヤホンを着用し、「臭いで体調が悪くなることも多いため、活性炭のマスクを使っている」。学校と相談して、制服の代わりに、加藤さんがデザインしたパーカーを着て登校できるようになったとの声もあるという。また、感覚過敏でない人からも「新幹線や飛行機で長距離移動する人から、『パジャマみたいで着心地が良い』との声をもらう」そうだ。

 感覚は人それぞれだ。「感覚過敏の人に限らず、みんな違う。だからこそ『認めて』『配慮して』ではなく、それぞれの違いを認め合えたら良いと考えている。私が『音が苦手だから全世界の音をなくして』と言ってしまえば、音を頼りにする人は困る。誰かの快適さを求めると、誰かが不快になる世の中で、どう寄り添えるかを考える必要がある」。

 “感覚過敏”の名称については、「感覚はグラデーションだが、刺激によって体調不良やパニックになるなどの身体的反応があれば、解決策を考えないといけない。いまは課題解決のために“感覚過敏”の言葉を使っているが、互いに困りごとを表現して、認め合えるようになれば、使う必要もなくなる。つらさを話しやすい関係性が重要だ。相談する側は『相手に迷惑をかけないか』を気にする。まずは『迷惑じゃないよ。伝えていいよ』という言葉から伝えて欲しい」との思いを語った。
(『ABEMA Prime』より)
 

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「感覚過敏」とは?頭痛に吐き気...苦痛のリアルとメカニズム&対策を当事者に聞く
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