■選挙における「表現の自由」どこまで?エンタメ化に全振りはあり?

公職選挙法
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 公職選挙法では第225・252条「選挙の自由妨害罪」に、演説を妨害しまたは文書図画を毀棄しその他偽計詐術等不正の方法で選挙の自由を妨害した者は4年以下の懲役もしくは禁固または100万円以下の罰金とされている。同じく第7条「選挙取締の公正確保」では、検察官・公安委員・警察官は選挙の取締に関する規定を公正に執行するとされている。昨年4月の衆議院選挙・東京15区の補欠選挙では、つばさの党幹部らが他候補の街頭演説を妨害、5月に3人が逮捕され、11月の初公判で3人は無罪を主張した。果たして何がどこまで「表現の自由」として、選挙でも認められるべきなのか。

 外山恒一氏 (選挙活動の規制について)政治家というのは、話術とか能力とかがないとマズいと思う。それができない政治家が規制しろと言っていて、結局逮捕まで行ってしまった。つばさの党がやったことを全然いいと思わないし、見ていて不愉快ではあるが逮捕するというのは弾圧だと思う。

 池下卓氏 表現の自由は守るべきものだと思っている。だが、どこまでが表現の自由か、この線引きをするのは非常に難しい。SNSの件や物理的な面もあるが、私も候補者で当選している人間としては最近、身の危険を感じることはある。

 外山恒一氏 安倍総理に野次を飛ばして排除された人がいたが、あれは捕まったわけではないので、違法とはされなかった。今回のつばさの党の場合は逮捕まで行った。その中間形態もいろいろあるわけで、その線引きを条文化できるのか。

 ハヤカワ五味氏 向こうがうるさくしてきたから、こっちも音量を上げるみたいになっていたら、普通に街の人に迷惑。ある程度のルールはないと、住んでいる側として、そもそも選挙活動をうるさいと思うところもある中、程度を超えている。最近だと(人が)倒れてケガをしたこともある。そういったものを見ると、その場に行くのも怖くなる。

 元明石市長・泉房穂氏 ルール化は可能だと思っている。例えばマイクを使った選挙活動も朝8時から夜8時で決まっている。音量も一定程度の数字で表せる。丁寧な議論はいるが、数字で表されるものもあるので、ルール化はいる。

 TikToker・岸谷蘭丸氏 僕はエンタメ化に賛成派。どんどん選挙を面白くしていくべきだと思う。それこそアメリカ人の娯楽は(アメフトの)スーパーボールと選挙。それぐらいやっぱりみんなが選挙に興味を持つ。あれだけ大盛り上がりして、セレブリティを呼んで、みたいな。民主主義社会、資本主義社会でどんどん豊かになっていけばいくほど、結局人気投票にはなっていく。困窮している、問題があるような人たちばかりではないので、規制よりは、エンタメとしてどう盛り上げていくかという方向に行ってほしい。

 外山恒一氏 一般の人たちに反感を買うようなやり方をしてはマズい。面白くやらなければという意識があるので、気に食わない人もいるかもしれないが、半々ぐらいの評価に分かれるようにしている。しかし、もしかしたら僕が不純なのかもしれない。つばさの党の人たちの方がむしろ真面目に何かに怒っていて、もうなりふり構わず抗議をしている可能性もある。主観の問題だから、本人たちが真面目なのか、ふざけてやっているのか(見分けは)難しい。

■当選を目指さない立候補の是非は?
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