2024年から続くコメ不足で、米価が大きく値上がりしている。価格高騰の背景を政治ジャーナリストの青山和弘氏が解説した。
コメの価格高騰が続く中、政府は備蓄米21万トンの放出を決定した。これまでに主食用として備蓄米が放出されたのは東日本大震災と熊本地震という震災時の緊急対応2回のみ。放出された備蓄米は、東日本大震災で4万トン、熊本地震で90トン。それに対し今回は21万トンと、東日本大震災の時と比べ5倍以上足りないという計算だ。
しかし農林水産省によれば、2024年度のコメの生産量(679万トン)は前の年に比べると18万トン増える見込みだという。一方、JA農協などの集荷量は24年末の時点で前年よりおよそ21万トン減っている。それが「消えた21万トン」と言われ、今回農水省が同じ量の備蓄米を放出し価格を抑制することを目指している。果たしてこの21万トン減ったコメはどこに消えたのか。
「どこかの業者が高く売ろうと買い占めたとか、様々な憶測が飛び交うがまだ真相は不明だ」(青山和弘氏)
1995年にコメの流通は自由化され、政府のコメ買い入れは備蓄米に限定。コメは需要と供給で価格が決まる普通の商品になった。さらに2018年に政府はコメ生産量を減らす「減反政策」を廃止。そして2024年8月には大阪の堂島取引所でコメの先物取引が本格的にスタートした。
「自由主義経済」の市場メカニズムとなれば、投機的な取引で一攫千金を狙う人も出てきて、供給を絞って値上がりを狙う業者も出てくる。「(コメの価格高騰は)投機的なものであって、『マネーゲーム』であるということはもう明らか。今まで米を扱ったことがないような人が参入している気配がある」(江藤拓農水大臣)
なぜ農水省は動かなかった?
