■登録解除する理由とは

マイナ保険証 登録件数
拡大する

 医療機関の受付で、マイナ保険証の使い方を教わる人の姿もよく見かけるようになった。現場ではどんなトラブルが起き「登録解除」が出るまでになっているのか。まず約5万8000件という数字について、自民党のデジタル社会推進本部幹事を務める、和田政宗参議院議員は「(マイナ保険証を)利用される方のメリットは極めて大きい。ただ、こういう状況になっていることは、政府の周知、『安心して利用してください』というものが進んでいないから。より一層力を入れなくてはいけない」と述べた。

 これに経済ジャーナリストの萩原博子氏が、問題点を指摘する。「(登録の)解除はすごく手間。ボタンを押せばすぐにできる話ではない。わざわざ窓口に行って解除するということは、よほどひどい目にあったのでは。まだまだトラブルが多く、メリットがあまり感じられない。紙の保険証だったら月に1回、窓口にポンと出せばいい。今日は忘れたと言えば、次回持ってきてくださいね、で済んでいた。ところがマイナ保険証は毎回、ピッピッとやらなきゃいけない。そこでトラブルが起きて、顔認証されないことが起きたら、そこで滞って、後ろに列ができる。そういう嫌な経験をいっぱいした方が今、解除しているのだと思う」。

 顔認証については、特に視覚障害者がうまく顔を合わせられない、暗証番号の入力が難しいなどの課題がある。これに和田氏は「医療機関では『目視確認モード』で、顔認証をなくす方法を3月から実装する。ヨーロッパの先進事例では、デンマークやスウェーデンで、100%運用している。デンマークは過去に2回、個人情報の流出を政府がしたのに、それでもしっかり原因を改善して政府が信頼を得た。日本がこういう状況にあるのは、政府の努力不足。トラブルは改善しないといけない。どんな方も取り残さない形でマイナ保険証を進めていきたい」と述べた。

■まだ紙の保険証を使うのはなぜ?
この記事の写真をみる(4枚)