シーズン唯一のフルスノーラリーとして開催された世界ラリー選手権「ラリー・スウェーデン」。刻々と変わる雪上のコンディションにトップドライバーですら手を焼く場面が多く見られたが、僅かな衝撃が結果的に大きな損害を招いた一幕もあった。
問題のシーンはデイ2のSS2で起きた。若手注目株でGRヤリスを駆り参戦するサミ・パヤリ。序盤は同SSでトップタイムを記録したエルフィン・エバンス(トヨタ)に匹敵するペースで快走していたが、その最中悲劇が襲った。パヤリが右コーナーに進入すると、GRヤリスはややアウト側に膨らみながら立ち上がる。ここで左リアが僅かにスノーバンクにヒットしたかに見えたが、やや乱れた挙動を立て直すと、そのまま走行を続けた。
しかし、実はこの時重大なトラブルが起こっていた。トヨタの公式リリースによれば「スノーバンクに当たった衝撃でタイヤがホイールのリムから外れ40秒以上タイムロス」したとのことで、フィニッシュ直後にカメラが捉えたパヤリのマシンを見ると、確かに左リアタイヤがリムから外れ、煙が上がっている様子が映し出されていた。
パヤリは「ある場所で雪の壁に当たったが、それはスノーラリーではごく普通のこと。しかし、なぜかタイヤがリムから外れてしまった。多くのタイムを失うことになって非常に残念」とコメント。この日を終えて総合9位だったが、日本時間16日夜の最終ステージを終えて総合7位まで巻き返しフィニッシュ。ただ、意気のいい走りを見せる新星にとってラリーの過酷さ、難しさを実感させられたほろ苦い一幕となった。
(ABEMA『WRC 世界ラリー選手権 2025』/(C)WRC)
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