界王様(CV:八奈見乗児)と孫悟空(CV:野沢雅子)は師弟関係にある。しかし、それでいて上下関係を感じさせない不思議な間柄でもある。アニメ「ドラゴンボール改」“幻の98話”とされるエピソードでは、せっかく作った小屋を一瞬にして悟空に壊され、界王様ががっくりと肩を落とす場面が描かれている。
界王様は悟空に決め技を授けてくれた偉大な人物だ。特に元気玉は、劇場版で数々の強敵を打ち破ってきたほか、アニメ本編のラスボス・魔人ブウを、さらに「ドラゴンボールGT」でも超一星龍を消滅させた最強の必殺技として知られている。その名シーンは多くのファンの記憶に刻まれているだろう。本来ならば敬われるべき人物のはずだが、悟空と関わったがために命を落としてしまった、同情せずにはいられない存在でもある。
セルゲームで孫悟飯が超サイヤ人2に覚醒し、セルを追い詰めると、セルは完全体を維持できなくなり、自爆を選択した。悟空は地球を救う手段として、セルとともに瞬間移動する覚悟を決める。そして向かった先は、あろうことか界王星だった。まさに恩を仇で返すとはこのことで、「ば……ば……バカー! そんなヤツは連れてくるなー!」という必死の抗議も空しく、界王様は悟空とともに命を落とす羽目になった。
頭上に輪っかを浮かべ、蛇の道を進む界王様はご機嫌斜めだった。巻き添えで死んでしまったのだから怒るのも当然であり、悟空は憎まれても文句は言えない。しかし、それでも悟空が行動をともにするすることを許す懐の深さは、さすがといったところだ。
悟空と界王様は死後、蛇の道上を飛んでいた。界王星に向かっていたのかもしれないが、閻魔宮から蛇の道を100万キロ行った先にある小さな界王星は、セルの自爆で跡形もなくなってしまったはず。そのことに気づいてか、界王様は道中で、大きな木と適度なスペースをうまく使って立派な小屋を完成させた。
小屋が完成した直後、まさかの展開に