「『跡取り娘.com』は中小企業の中での女性の比率が増えてくると、やはりダイバーシティが進んでくるのではないかと、そうした中で立ち上げたサービスだ」(日本跡取り娘教育協会 内山統子代表理事、以下同)
【映像】意外…「跡取り社長」の割合は女性の方が多い?(グラフ)
女性後継者の相互支援を目的に立ち上げられた「跡取り娘.com」。会員同士の月1回の交流会や講座などを開催している。
家業において「家の名前」はブランド?
「経営者として男性にも負けない、もしくは女性らしい事業承継ができるような場づくりを心がけている団体だ」
少子化や過疎化によって後継者不足に直面する企業が相次ぐ中、女性が事業を承継せざるを得ないケースもある。
「お父さんが突如として亡くなられてしまった、もしくはご病気で娘に引き継がせることになったということが一つある。男性の兄弟がいたにもかかわらず女性が引き継ぐケースもやっぱりある。もちろん最初お兄さん・弟さんが継ぐとか、そういうことがあったりするが、男性同士でうまくいかなくてお父さんと喧嘩してしまって。それで(息子が)出ていってしまう、もしくは適性がないということで第2候補として娘が入られる。それで入ってみると『娘の方ができるんじゃないか』、そういうようなケースもあったりする」
思わぬ形で跡を継ぐことになったケースも多い女性経営者。家庭や職場で、長年受け継がれてきた男性社会や家長制度の名残から来る悩みがあるようだ。
「皆さん経営者でもありながら女性でも、妻でも、子供の母親でもあるので、男性の経営者とは話せないようなプライベートに寄った悩みとか、女性の体についての悩みがあったり、そうしたことも話の中に出てきたりする。従業員の中で特に男性の従業員に女性が指示を出すっていうところ。例えば小さい時は『〇〇ちゃん本当にかわいいね』とか、かわいがってくださってた方たちに、そのうち“指示を出す側”になってくる。そうしてくると軋轢が生じてきて。あとどうしても“苦渋の決断”というものがあったりする」
多くの女性経営者の悩みは、男性が多い職場での孤独感。一方、古い慣習やしがらみにとらわれない新しいアイデアで成功している女性経営者も出てきていると内山さんは話す。
「例えば歯ブラシメーカーで、自然界で分解できるような歯ブラシを作られてエコに特化をされたり。造園をされていた方が、実は今庭づくりに特化されたり。“自分自身ならでは”というところに承継されてスタイルを変えている方もいらっしゃる」
ただ、国会でも議論が続いている選択的夫婦別姓など、制度や社会の理解がまだ追い付いていない現状もある。
「家業においては家の名前はブランドになるところがある。だから『佐藤商店』の中に鈴木さんが入ってくると『鈴木さんって誰ですか?』と。どうしても起こり得ること。そうした時に改姓する以外の選択肢が方向性として考えていただければいいと思っており、同じ女性の経営者の人たちを見てきた中でも進んでもらえればいい」


