■なぜ地下鉄サリン事件は止められなかったのか
垣見さんの著書に、自らも著者とした関わった元大妻女子大教授・元朝日新聞編集委員の五十嵐浩司氏は、垣見さんの証言に対して「非常に貴重な証言」だと評価する。「大量破壊兵器でハルマゲドンというテロをやろうとした団体に、警察がどう対処したのか、どう判断したのか。これがわからないままでは、私たちは次に備えられない。30年経った今とはいえ、これだけ鮮明な記憶でいろいろな資料を手元に起きながら話されたその証言は非常に貴重だ」と述べた。
さらに事件の原因としては「多くの人を巻き込んだテロを計画した団体の危険性を、警察が総力を挙げても事前に察知できなかった。日本全国で情報が出ていたにも関わらず、1つ1つの小さな情報の共有ができず、全体としてこの団体が何をしようとしているのかをきっちり把握する構想力が不足していた。様々な兆候から、事前に動くことができなかったのが、一番の問題だ」と指摘した。
また当時から事件を取材していたテレビ朝日・報道局デスクの清田浩司氏は「一連のオウム事件では、立件されただけでも29人の方が亡くなっている。それだけ連続して殺人事件が起きていながらも、警察は何をやっていたのか。坂本事件も神奈川県警の横浜市で起きた。神奈川県警がちゃんと捜査していれば、松本サリン事件もその後に続く様々な事件も起きなかったのではと、私はずっと取材していて疑問を感じている」と語った。
■情報戦・組織力でオウム真理教に遅れを取った警察
