■「大人になったら精神科医や心療内科に通うのが一番いい」 

自家培養表皮
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 一方で世間には、自傷痕があることによる偏見もある。就職や結婚などの場面で、自傷痕が障壁となり、「精神的に弱い人間」や「自殺願望がある人」と判断される場合もあるため、アームカバーや長袖で隠す必要が出てくる。また、どう接していいかわからないと孤立する恐れも存在する。「傷つける行為の意味がわからない」からと、友人として付き合うことへの不安を抱かれるケースもある。

 自傷痕に対する治療として、高出力レーザーで皮膚を刺激し新しい皮膚へ置換する「フラクショナルレーザー」や、患部を切り取り縫い合わせる「切除術」、CO2レーザーを当て患部を削り取る「削皮術」、傷のある皮膚を90度反転させ患部に縫い直す「戻し植皮術」などがある。

 村松氏の著書『自分を傷つけることで生きてきた』(KADOKAWA)では、いじめや受験のプレッシャーなどから自傷行為に走った人の回復ケースが紹介されている。

 これらの事例を踏まえて、「いろいろな回復のケースがある。やはり大人になったら精神科医や心療内科に通うのが一番いい」とアドバイスする。とはいえ、すぐに相性のいい医師と出会えるとは限らない。「あまり期待しすぎない方がいい。初診まで時間がかかるため、医師にガッカリしたときのショックは大きい。反対に、医師から結構言われることもあるが、『そんなもんだ』とも感じる。合わなければ変えるくらいのつもりがいいだろう」。

 ゆうこさんは、自傷行為をする人への理解を求める。「傷跡を見てもいじらないで欲しい。自分は『生きていることが偉い』と思っているから、触れずに『大変なことがあったのだろうが、この人は頑張ったんだな』と思って接してくれたらうれしい」と語った。

(『ABEMA Prime』より)

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【映像】増加する大人の自傷行為なぜ?
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