DA方式とは?
「その解決策が『受け入れ保留アルゴリズム』=DA(Deferred Acceptance)だ。アルゴリズムで何をやるのかというと、出願している全ての高校に対して、その生徒が合格最低点をクリアしているかどうかを確認するという作業をする。合格最低点をクリアしている高校の中で、最も志望度が高い高校を入学するとして割り当てる」(野田氏、以下同)
まず、生徒側は志望順位をつけ、試験の結果を受け学校側は合格順位を決める。各学校は合格順位に沿って定員まで合格通知を送り、生徒側は一番志望度が高い学校の合格通知のみを保留し、他の学校は辞退する。
辞退が発生した学校では、その分の定員が空くので、再び合格順位に沿って追加合格の通知を送るというのが、このアルゴリズムの流れだ。
「誰も辞退しないところになったらその時点で合格と入学の関係を固定化する。たくさん応募できるときに最終的に行き着く地点をコンピューターを使って早く計算してあげるという発想で作られているのがこの方法だ」
志望度が高く、実力に見合った学校とマッチングするため、私立などの滑り止めを持たずに難関高に挑戦しやすくなるDA。
今週、河野太郎前デジタル大臣は野田氏や教育経済学を専門とする慶應義塾大学の中室牧子教授の名前を挙げ、この制度を導入すべきだと以下のようにXに投稿した。
「『ニューヨークの公立高校の入試にこのDA方式を導入して成功したことがノーベル経済学賞の解説文書でも言及されているほど、理論的に優れた方法であり、このDA方式の導入にはシステム開発以外の費用がほとんどかかりません。公立高校の単願制をおかしいと思っている生徒、保護者、学校の関係者、大勢いらっしゃいます。デジタル技術がこの問題を解決します」
野田氏によると、共通テストのような形が望ましいものの、試験方式が異なっていても問題はないという。
また、高校の授業料無償化など、教育への手厚い支援が進んでいるが、DAは大きなコストを必要とせずに、貧困家庭が抱えるリスクを軽減できるという。
「狙っていた公立高校に落ちてしまっても、その下の公立高校も同時に受験することができることによって、公立高校に特に行きたい、典型的には比較的貧しい家庭の人たちは、確実に公立高校の席を確保しやすくなる。しかも、どんな公立高校でもいいという形ではなく割と自分の狙っている層に近いような公立高校に入ることができる。DAを導入するアプローチだと、リスクを軽減する効果を得られるが無償化のような財源が必要ないため、とりあえずこっちをやってから考えた方がいいのではないか」(野田氏)
既に「単願ではない県」がある
