既に「単願ではない県」がある

愛知県公立高校入試
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ABEMAヒルズ』が東京都にDA方式を導入する予定はあるのかと聞いたところ「過去に検討された記録はない。現在のところ導入は検討していない」という回答だった。

 ところで、既に「単願ではない県」がある。愛知県は1回の試験で希望順に2校まで合否判定が出る。1989年から実施しているが、受験生は第1・第2志望の順位付けをして、2校まで出願可能(学校の組み合わせ条件はある)。試験は1回で2校分の判定が出る。

 受験生にとってのメリットは大きいが、運営側としては合格者の決定が単願制よりも複雑になり、ミスが起きないように慎重な確認が必要になる。

 愛知県教育委員会は、「一つ間違いがあると玉突きで多くの生徒に影響が出てしまう」として、合格判定は別々に組み立てた3つのプログラムで実行し、その結果がすべて同じかなども検証している。そして、毎年受験の制度が少しずつ変わるため、そのたびにシステムの調整なども行うという。

 中室教授は、「DAに近い仕組みだが、2校までしか判定できない。現在は複雑な仕組みになっているところもあると思うが、こういう時こそ学術研究の出番だと思う。大学の研究者なども含めて制度の設計をすると、負担もコストを下げられるので、愛知県とはぜひ一緒にやりたい」と述べた

 一方で、DA導入による教育への影響はどうか。例えば「DAならどこかには入れるから、そんなに勉強しなくていいや」とはならないのだろうか。

 中室教授は「その恐れがないとは言わないが、ただDAが優れている点は、自分の志望校を志望順に正直に言うことが最も良い結果になるというところだ。少しでも点数が上がれば、第二志望よりも第一志望に行けるかもしれない。その点を考えると、努力することが一番正しい戦略だということになる。生徒に対してもちゃんと仕組みの説明をすれば、むしろ努力するインセンティブになるのではないか」としている。

 また、DAの目的として、「『希望したところに入れるか』と『どこかに必ず入れるか』は違う話だ。DAはなるべく希望したところに入れることを叶える仕組みであると思うし、そこが特に公立の入試で達成されると不公平感が減る。その点は非常に重要だと思う」と述べた。
(『ABEMAヒルズ』より)

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