自民党と連合の関係は“対立的”?

選択的夫婦別姓への各党の立場
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 連合の芳野氏の自民党大会への出席について、日本大学危機管理学部教授/東京科学大学特任教授の西田亮介氏は「物価上昇が続き、実質賃金もマイナスという中で、やはり手取りを増やす、賃上げを望む声は強くなっている。当然、連合は労働組合のナショナルセンターでありその会長を招くということは、働き方改革、賃上げの実現に向けた新しい方法を模索していることの象徴になるということだ」と説明。

 自民党と連合の関係については「元々は対立的だ。連合は結成時から『日本に健全な二大政党制を導入する』と主張し、自民党政権とは反対の勢力を支援する立場を取ってきた。政治的には一応中立だが、自民党と距離感はあった。ただ、近年、連合側のイベントに総理が登壇するといったなかで、融和傾向にあったと言ってよいだろう。『官製春闘』などと言われたりもするように政治的にも手取りを増やす政策や賃上げ政策が極めて重要になってきている。安倍政権以来重要なテーマとして引き継がれてきている」と解説した。

 国会の後半戦では大きな議論となりそうな選択的夫婦別姓だが各党のスタンスは様々だ。

 自民党は党内に根強い慎重論がある。立憲は早期導入を主張。維新は旧姓使用に法的効力を持たせることを衆院選で公約。ただ、前原共同代表は年始の記者会見で選択的夫婦別姓に賛意を表明し、改めて党内に図る考えを示している。国民民主も積極派だが姓の決め方などをめぐり丁寧な議論を主張している。

 立憲民主党の“本気度”はどの程度なのか?

 西田氏は「立憲民主党は選択的夫婦別姓を政策の柱にしてきたところがあるのでなんとしても実現したい。予算や税制をめぐる攻防では存在感が見えなかった。キャスティングボートを握る維新や国民の間で埋没していたので、参院選も近づくなか、とにかく実現に向けて歩みを進めたいと考えているはずだ」と分析した。

 小泉進次郎氏は「仮に採決をという場合になれば、党議拘束はかけるべきではない。党で縛るということではなくて一人ひとりの考え方・価値観に委ねるべきではないか」と発言している。

「党議拘束をかけるべきではない」という意見に西田氏は「さすがだ」と嫌味な口調ながら評価した。

「石破総理も小泉進次郎氏もそうだが、自民党の危機に際して一致団結することに強い意思を感じる。『党議拘束を外す』とはどういうことかというと、一般には党議拘束をかける。つまり、政党会派で同一の投票行動をとり、法案に対して賛成・反対をまとめる。だが、複雑なテーマ、あるいは意見が分かれるようなテーマについては党議拘束を外すことがある。すると、自民党の中でも賛成する人もいれば反対する人も出てくる。一見すると自民党がバラバラになってしまうように思えるが、反対の人たちに無理に反対させるよりも反対票を投じることができメンツが保たれる。党議拘束がかかると、反対の立場の人たちも基本的には賛成を投じるしかなくなるが、そうすると、その人たちのファンや支持層からは『いやいや、反対って言ってたじゃないか!』と批判される。党議拘束を破ると罰則の対象となってしまう。党議拘束を外すことで選択的夫婦別に反対してきた人たちは、このまま反対し続けることでメンツを保つことができる。それに対して賛成してる人たちは賛成票を投じることができ、選択的夫婦別姓が成立すれば、ある種の“手柄”にもなる。党議拘束を外すというのは自民党がまとまることができる提案だ」

今後の連合の立ち位置は?
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