犯行の手口については「封筒とカードを忍ばせておく、現場に行って空の封筒を出して、被害者の方のキャッシュカードを目の前で入れる。入れて封をして『これは大事なものになりますので、実印を持ってきてください』と言う。実印というのは大体タンスとかにしまってあって、目を離した隙にすり替える。実印を押したところで『これは1週間、開けないでください』といって『じゃあ失礼します』っていう感じ」と、生々しく証言した。

 最初に渡された準備金で用意した封筒やカードは“すり替え”の道具。あらかじめダミーのカードを入れた封筒を用意し、被害者が目を離した隙に、キャッシュカードが入った本物の封筒と入れ替えて騙し取ったという。

 キャッシュカード受け取り上限の50万円まで引き出すと、犯行グループからは「(残高が)50万円超えていたら咳払い1回、50万円超えていなかったら咳払い2回」という指示が。ATMの前でスマホで通話などすると周囲に怪しまれるため、指示役からの質問は常に二択。咳払いの数でその質問に答えさせられたという。

 さらに、降ろした金を詐欺グループに受け渡す際には「お金はお菓子の箱の中。まず封筒にお金を入れて、(お菓子)の箱の中身を抜いてお金を入れて、ロッカーに入れる」と説明。周囲から見られたときに怪しまれないよう、封筒の中に入れたお金をお菓子の空き箱に入れ、受け渡しするよう指示されたそう。

 Aさんは5日間で6件の犯行に関与しておよそ1200万円を騙し取り、報酬として60万円ほど受け取ったという。Aさんは1カ月後に逮捕、初犯でしかも反省の態度を示していたが、懲役3年の実刑判決となった。両親は泣き崩れていたという。

刑務所での生活
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