前年覇者の実力は、やはり本物だった。全国を8つのブロックに分け、エリア対抗の形式で行われる団体戦「ABEMA地域対抗戦2025 inspired by 羽生善治」の予選Bリーグ1位決定戦、関東B 対 中部が3月15日に放送された。前回大会の決勝カードとなった本局。リベンジを誓った関東Bだったが、チーム中部の安定感は抜群だ。通算5勝3敗で勝負を制し、見事2年連続の本戦進出を決めた。一方、関東Bは2位決定戦から予選突破を狙う。
チーム中部のコンビネーションが冴え割った。先鋒戦を任された岐阜市出身の宮嶋健太四段(25)が関東Bのベテラン・郷田真隆九段(53)から幸先の良い白星を持ち帰ると、続く次鋒戦では静岡県三島市出身の青嶋未来七段(30)が中村太地八段(36)に快勝。序盤戦でいきなりの2連勝でスタートダッシュを決めた。
しかし、中堅戦の第3局では関東Bの高見泰地七段(31)が豊島将之九段(34)との相掛かり戦で勝利。わずかに流れが変わったかと見られた緊迫の第4局・副将戦では、中部の藤井聡太竜王・名人(王位、王座、棋王、王将、棋聖、22)と関東B・永瀬拓矢監督代行(32)のゴールデンカードが実現した。この一戦では、永瀬監督代行が意表の振り飛車を採用。フィッシャールールのために用いた作戦とみられていたが、中盤で藤井竜王・名人が主導権を掌握。「そのあと上手く迫られてしまい終盤は時間がないままでわからない状況で指していたが、なんとか倒れないように粘り強く指して勝ちに結びつけられた」と押し切ってチームに3勝目を持ち帰ってみせた。
第5局の大将戦では中部の杉本昌隆監督(56)が伊藤匠叡王(22)と対戦したが、タイトルホルダーの危なげのない指し回しに完敗。第6局でも高見七段が持前の終盤力で“妖術”のような逆転劇を演じ、3勝3敗のタイスコアとなった。
勝利した杉本監督のコメントは?