クリニックのホームページには誇大・虚偽広告ともとれる文言が

認定再生医療等委員会
拡大する

 その認定委員会はどのように科学的妥当性を判断しているのか?

ABEMAヒルズ』は、数多くのクリニックの「NK細胞療法」を審査しているある委員会から回答を得た。
「がんの専門家の先生はメンバーにいないが、臨床家の立場で免疫治療をしている先生(番組注:「NK細胞療法」等を実施しているクリニックの医師)はいる」
「どれほどの有効性があるかは未知だが、患者の定期報告で免疫療法も全く意味がないとは思えない報告がある」
「免疫治療に関してはエビデンスがあまりに少なく懐疑的だが、法律で認められた以上、我々が最後の砦となるよう可能な限り厳しく先生方に対峙している」
「定期報告も医療機関にとっては面倒な定期報告記入様式も委員会独自で作って報告していただき、継続の判断材料としている。その報告の中で免疫細胞治療の効果も感じている」

「NK細胞療法」を実施するクリニックの医師が、別のクリニックの「NK細胞療法」の計画の科学的根拠を認定委員会の委員として審査することになるが、国が定めた委員会の構成要件上は、こうしたことは禁じられてはいない。

 認定委員会について勝俣医師は「やはりがんの医療を行う時に、がんの専門家が一人もいないのは問題だ。今、医療は非常に専門分野に細分化されているので、がんのことをわかっている人がいないとなると、審査できるレベルにはないと思う」と指摘した。

 再生医療制度に詳しい国立がん研究センターの一家綱邦生命倫理部長は「対象疾患を専門としない医師が治療を行い、その計画を専門家であるか疑いのある委員が審査することが再生医療の自由診療では起きている。審査委員会の議事録を読んでも、その治療に効果があるかを真剣に考えているか、疑問である。『国が違法と言わなければ、自分達の裁量の範囲だから問題ないし、治療効果の有無を見極めるのは患者の自己責任』という姿勢が自由診療界隈では透けて見える。法制度に課題が多く、自由診療を受けることは勧められない」としている。

 クリニックの中には、再生医療実施のための届け出をしたことをもって、サイトなどで「厚労省が受理」などと表示するところもある。

 勝俣医師は「患者からすると、国が認めたように思えてしまうが、けっして国が効果を認めたわけではない」「クリニックのホームページには、『がんに効きますよ』など誇大・虚偽広告ともとれる文言が書いてあるものもあり、かなり問題がある」と指摘した。
(『ABEMAヒルズ』より)

この記事の画像一覧
【映像】「気持ち悪い」 小学校隣接の公園で性的ビデオ撮影
【映像】「気持ち悪い」 小学校隣接の公園で性的ビデオ撮影
この記事の写真をみる(4枚)