医師「その金で旅行でも行けばいい」

NK細胞療法を受けた男性、状態が悪化
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「がん性髄膜炎といって脳転移が悪化して、その中枢神経にがんが転移するというかなり危険な状態にあった」

 お金がなくなったこともあり、この自由診療は中断。一方、男性は主治医のいる病院で2016年に当時保険適用になったばかりの「オプジーボ」の投与を受ける。男性によると、この治療が大きな効果を発揮し、現在は通院と治療を継続しながら仕事も続けているという。

 男性は今では標準治療が最適だと考えているが、当時の心境を振り返ると…

「標準治療をやっている所の先生はやっぱり現実的な厳しいことを言う。僕であれば『治らない』『延命治療だ』というような。自由診療の先生はすごく前向きなことを言うし『これは効いてますよ』とか、『治りますよ』とか言われると、とても励みになった」

 男性は病院の診療時間には余裕がなく、医師に思いを伝えられなかったこともあったという。

「(最初の主治医に)『自由診療をやりたい、数百万円かかる』という話をしたら、先生が『その金で旅行でも行けばいい』という話をされた。今は先生が言おうとしていたことが分かるが、その時それを聞いた僕は『旅行に行っている暇があったら治したい』という気持ちだった。先生は正しいことを言っていたが、僕は『こいつ何言ってんだ』と思った。標準治療をやっている先生とのコミュニケーションも根底にはあるのでは。否定ばかりではなく、患者に寄り添う姿勢は大事なんじゃないか」

「専門家の意見は科学的な意味では信頼度は低い」
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