「専門家の意見は科学的な意味では信頼度は低い」

日本医科大学武蔵小杉病院・腫瘍内科部長としてがん治療にあたる勝俣範之医師
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 日本医科大学武蔵小杉病院・腫瘍内科部長としてがん治療にあたる勝俣範之医師は「医者は客観的に『治療がない』など言ってしまいがちだが、やはり患者の思いをもう少し汲み取るなどしないと患者は絶望的になる。自由診療に流れてしまうのも無理はない」と説明した。

 さらに勝俣医師は「共感的な対応はすごく大事だと思うが、医者はそういったトレーニングも受けておらず、なかなか時間がない。病院には医師だけでなく、看護師や薬剤師などいろんな専門的スタッフがいる。あとは、がんの専門病院にはがん相談支援センターという専門の相談できる場所があり、専門家が何人もいるのでそういったいろいろな場所を利用して誰かに相談してほしい」と述べた。

 たくさんの情報が溢れている中、患者はどのように正しい情報を選択していけばいいのか?

 勝俣医師は「市販の書籍などには言論の自由があり、効果がないものでも『効果がある』と言ってしまえるので十分に注意すべきところだと思う。がん相談支援センターにおいてあるパンフレットを利用することなどが先決だ。ネットにはまだまだ怪しげな情報が多く、我々がこの前調べた結果でも正しい情報は約2割〜3割ぐらいだった。未確立医療の中でも特に自由診療や民間療法では、高額なもの、『こうすればがんは治る』とセンセーショナリズムを煽ってくるものには気をつけてほしい」と警鐘を鳴らした。

 さらに勝俣医師は「専門家の意見にも注意が必要だ」と述べる。

「専門家の意見というのは科学的な意味では信頼度は低い。専門家が言っていることがどういった根拠に基づいているのかが大切。“自称専門家”もたくさんいるので気を付けてほしい」

「科学的根拠に基づいたものが標準治療。人間が決めたのではなく、科学が決めたもの」
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