■「線引きが難しい法律を作ってしまっている」
アクティビスト個人投資家の田端信太郎氏は、かつてLINEの上級執行役員だった経験から、プラットフォームによる違いを論点として挙げる。「みんなが見られるYahoo!掲示板での悪口と、“特定少数”である10人のLINEグループで『担任教師はクソ』と言うこと、どちらもプラットフォームだが、LINEグループには通信の秘密が適用される」。
しかしながら、「これが1000人のLINEグループだったらどうなるか。もし1万人のLINEグループがあったときに、もはや“特定少数”とは言えないのではないか。グラデーションのある中で、線引きが難しい法律を作ってしまっている」とも述べる。
Yahoo!ファイナンス掲示板では、禁止行為として、「つるし上げ、晒し上げを目的とした投稿」「取引や保有銘柄のスクリーンショットなどを要求し不快にさせる投稿」「公人や社長、あるいは企業などに対する苛烈な表現を用いた批判」などを定めている。また「脳無しの経営陣は、さっさと消えろ」「このクソ会社が」といった例文も示されている。
このガイドラインに、田端氏は「『さっさと消えろ』は、『殺す』『死ね』とは異なり、辞任を求めているだけで、物理的な危害を加えるとは解釈できない。あくまで言論の自由における批判や意見、論評の範囲ではないか」と反論した上で、「これはあくまでLINEヤフーがサービスポリシーとして決めたことで、法律はそこまで求めていないと明言されるならば、それは経営判断として良いと思う」と語った。
誹謗中傷による被害が「野放しなのはおかしい」としながら、「適用除外を明言してほしい」とも求める。「条文に『公職選挙法に定める首長や議員、上場企業の商法・会社法で定める役員はこの限りではない』と1行入っていれば、バランスの取れた法律だと思うが、すでに言論の萎縮を招いている。おそらくLINEヤフーは『自社の判断だ』と言わずに、『法律の要請に基づき、コンプライアンス順守のためにやっている』と言うだろう」。
■「“違法な発信”に満たないものは『どうぞご自由に』があるべき姿」
