■「現状は“財政ポピュリズム”」

加藤創太氏
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 東京財団政策研究所の研究主幹、加藤創太氏は、「“財布”に限りがあることの意識」を持つように呼びかける。「無償化」「国民に還元」「減税」など、国民に受け入れられやすいワードで「あれもできる、これもできる」と求めすぎている現状を“財政ポピュリズム”だと指摘し、「財布の政策の中で、どんな政策を優先すべきか?」を議論すべきだと主張する。

 予算編成については、「主要野党の政策は、財源が無尽蔵であればあった方がいいものばかりだ。ただ、その財源があるのか、あるとしても見合う価値があるか、他により良い投資先はないのか。財政が厳しく、金利が上昇している状況では、こうした議論がもっとされるべきだった」と語る。

 背景には少数与党による国会運営がある。「野党が法案や予算案を潰せる絶大な権力を得た。権力には責任が伴い、『財源は政府や自民党で調整してね』という従来のやり方には限界がある。しかし、今の状況では野党が拒否権を持ち、財政が膨張するばかりだ」。

 日本維新の会政調会長として、与党との予算協議に当たっている青柳仁士衆院議員は、「バラマキではない」と否定する。高校無償化は6000億円程度と、115兆円の予算の中では大した額ではなく、国家を揺るがすようなものではない。財源は問題にならず、むしろもっと高い要求をしてもよかったと反省点もあるという。

 維新は「財源を考えずに要求するのは無責任だ」とのスタンスをとっている。「大阪府は減債基金(将来の返済に備えて積み立てる資金)から5200億円の借金があったが、維新の首長が15年間、毎年350億円ずつ返してきた。それを返し終えたため、その350億円で全国初の教育無償化をやった」。

 あくまで今回の教育無償化は、大阪での実績を元にした政策提言であり、「単なるバラマキではなく、改革で財源を切り出して、将来世代に投資する姿勢が評価されてきたものだ。国政においても同じスタンスで臨んでいる」と説明した。

■岸谷蘭丸氏「バラマキという言葉こそポピュリズム」
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