■制度や技術で事故は減らせるか
制度や技術の進歩で、どこまで事故は防げるか。高齢者の免許更新は70歳で5年に1回、71~74歳で4年に1回、75歳以上は3年に1回とされている。75歳以上は違反歴の有無によって認知機能検査、運転技能検査が義務付けられるが、伊藤氏によれば、対応する現場の人手不足もあり、うまく機能していないという。「認知症で事故を起こしている方は、実はすごく少ない。それを一生懸命に炙り出そうとすごくエネルギーを使っても、大した数の事故は防げない。75歳以上で違反歴のある方は実技試験を受ける。もともと期待されていたのは、免許を取る時と同じような検査だったが、だいぶ簡略化されてメニューも少なくなってしまった。人数が多くてキャパオーバーになってしまうからだ。実技検査も、みっちりやろうとすると『1年後に検査を受けに来てください』とかになってしまう。そのあたりはテクノロジーを使って簡略化できればいい」。
EXIT兼近大樹は、世代を問わず事故を起こすリスクがあるドライバーへのアプローチの重要性を考える。「当事者に刺さっていない。高齢者だけでなく若い子たちも、自動車学校でどんなに悲惨な事故映像を見せられても、刺さっていない。それをちゃんと理解して想像力を働かせる若者は、それを見ていなくても事故を起こすような運転をしない。当事者にどれだけアプローチしていくかだ」。
■最新技術で事故は防げる?
